先史時代のエジプトのミイラは偶然の産物と考えられてきた。しかし、人為的にミイラがつくられていたことを示唆する証拠がいくつも発見された。(PHOTOGRAPH COURTESY MUSEO EGIZIO) 胎児のように体を丸めるミイラ。現在はイタリア、トリノの博物館で保管されているが、発見されたのはエジプトのナイル川流域で、年代はおよそ5600年前。エジプトにファラオが登場するより約1500年も早い先史時代だ。 このミイラは当初、偶然の産物だと考えられていた。砂漠の熱で乾燥し、腐敗が進まない状態になったという説だ。ところが、この説を否定する新たな証拠が発見され、2018年8月15日付けの学術誌「Journal of Archaeological Science」に発表された。 ミイラには、知られている限りエジプト最古のミイラ防腐処理用軟膏が使われていた。ナイル川流域でミイラづくりがピークを迎