市場取引で価格が決まる株式を中央銀行が買い支えるという、主要国に例のない政策を日銀が始めて10年がたった。日銀の上場投資信託(ETF)購入は、株式市場をゆがめる以外に、富裕層に恩恵が偏る格差助長の問題もはらむ。だが、「日銀頼み」の市場では売却のそぶりを見せただけで株価下落を招きかねず、日銀は引くに引けない状態だ。(皆川剛)
「ロックンロールはたぶん、君の苦悩を解決しないかもしれない。それでも、苦悩ごと、君をダンスさせるんだ」。ザ・フーのピート・タウンゼントがロック音楽について語っている▼苦悩と困難が絶えず押し寄せてくる青少年期のための音楽であろう。したがって人生とうまく折り合える方法を覚えた大人には暴力的な叫び声にしか聞こえない。ロックとは「大人」が聞けば顔をしかめ、それを聞く子どもを見れば、思わず心配してしまう種類のものである▼この人たちの音楽も若い世代を熱狂させた。そして「大人」の神経を逆なでしたはずである。シーナ&ロケッツのシーナが亡くなった。敬称は付けない。それが流儀だろう▼初めて見たのは一九八〇年の「夜のヒットスタジオ」だったはずである。艶(なま)めかしさ、格好良さ、危険さが心をロック=揺さぶった。苦悩ごとダンスさせた▼最後にその声を聞いたのは昨年九月の土曜の夜だった。会社を出る。日比谷野音から漏れ
街のどこにも本屋さんがない。そんな市町村が増えている。首都圏でも、筑波研究学園都市に隣接する茨城県つくばみらい市が、全国に四つある「書店ゼロの市」の一つに。一方、北海道留萌(るもい)市では官民一体となって書店を誘致し、ゼロから抜け出すなど、新しい動きも出始めている。 (中村陽子、写真も) 「本をどこで買いますか?」。つくばみらい市内のつくばエクスプレス(TX)「みらい平」駅前。立ち話をしていた三十代の主婦二人に質問すると「ないんですよ、本屋さんが」と、顔を見合わせてうなずいた。「引っ越してきてびっくりしました。大の読書家の夫は、車で隣の守谷市まで買いに行ってます」 二〇〇六年に伊奈町と谷和原村が合併したつくばみらい市。みらい平駅から都心の秋葉原駅まで、〇五年に開通したTXで最速四十分というアクセスの良さもあり、六年間で人口が一割以上増えて四万六千人余になった。ところが近隣の市に大型書店がで
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