ジムでの水泳を終え、サラダチキンでも買って帰ろうかなと考えながら自転車をこいでいた。 スイスイとチャリをこいでいると、テリー伊藤のような風貌の老人が、僕に向かって 「止まって止まって」 と言わんばかりに手を挙げている。 俺はタクシーじゃねぇんだぞと思いながら、自転車を止める。 いきなり自転車を止めてくるなんて、最初は警察かと思ったが、じいちゃんだった。 いや、普通のじいちゃんと言ったら語弊があるかもしれない。 カチッとした高そうなスーツに身を包み、黒いハットを被っていた。 「どうしました?」 いきなり自転車を止めてきた老人に尋ねる。 すると老人は金色に輝く高そうな時計を見せてきて、 「この時計を預けたいんだけど、200円足りない」 と言った。 ゴニョゴニョと聞き取りづらい声で話すため、はじめは何が言いたいのかよくわからなかった。 「200円ほしいってことですか?」 老人は手元の金色の時計を
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