『ハニー・ボーイ』はシャイア・ラブーフの真っ黒な半自伝である。「父とのトラウマを乗り越え、新たな世界へと踏み出す物語。圧倒的な実力を誇るスター、ノア・ジュプ初主演作!」という宣伝は、本作の魅力のほんの一部だ。本レビューは、感動作を装った陰鬱なドラマの真相を探る。観る前と後で2回読んで欲しいです。 シャイア・ラブーフは、心を病んでいる。おそらく今も完全に回復はしていない。彼は幾度もアルコールやドラッグに起因する不祥事を起こしている。もともと酒癖は悪かったが、2008年に起こした飲酒運転事故では指二本を切断。それでも懲りずに飲み続け、2015年に酩酊迷惑行為で逮捕。この逮捕を期にアルコール依存症リハビリプログラムに参加することになるが、あっさりスリップ(再飲酒)。2017年に再度逮捕される。そして同年、精神科医にPTSDと診断され、暴露療法と合わせて2年間の本格的な依存症回復プログラムに入るこ