ブックマーク / d.hatena.ne.jp/zoot32 (14)

  • 映画『ブリグズビー・ベア』 - 空中キャンプ

    『ブリグズビー・ベア』 ストーリーは更新されなくてはならない 1981年3月30日、ワシントンDC。25歳の青年ジョン・ヒンクリーは、その年に大統領へ就任したばかりのロナルド・レーガン暗殺を試みた。ヒンクリーはかねてからジョディ・フォスターのストーカーであり、大統領の暗殺に成功すれば、彼女に認められると考えていたのだ。いったいどのような理由により、彼が「大統領を暗殺すれば、意中の女優が振り向く」と、何の脈絡もないふたつの事象を関連づけたのかはわからない。しかしヒンクリーはそのような奇矯なストーリーに沿って生きていたのであり、レーガン大統領暗殺未遂事件が私たちに独特の憐憫を呼び起こすのは、犯人がかかるみじめな物語のなかでしか生きられなかったことの空虚さゆえである。 私たちはみなストーリーに沿って生きている。人は何らかの物語のもとでしか生きていけないからこそ、誰もが内部にストーリーを持ち、日々

    映画『ブリグズビー・ベア』 - 空中キャンプ
  • 『服従』/ミシェル・ウェルベック(河出書房新社) - 空中キャンプ

    あの書店ってやつはふしぎなもので、一度店内に入り、書架にずらっと並んだを眺めていると、いくらでもを読めるかのような錯覚におちいり、目についたを次々に買い求めるという愚挙に出てしまう。そして大量のを抱えて家に着き、冷静さを取り戻して気がつくのは、こんなにを買っても読む時間がないという当たり前の事実である。そろそろ「を読むには一定の時間が必要である」と気づくべきなのだが、書店に入るたびにそのことをすっかり忘却してしまう。理由は判然としないのだが、「読める」とおもってしまうのだ。わかっていても、同じ間違いを繰りかえしてしまう。 したがって読書家の夢とは、将来に渡って金銭的な心配をいっさいせずに済む状態になった上で、仕事を辞めて、家でひたすら読書をすることとなる。私もそうであった。そして、ミシェル・ウェルベック新刊『服従』には、期せずしてその夢を叶えた読書家が登場するのである。舞台は2

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    zoomin67 2015/10/01
  • 『紙の月』 - 空中キャンプ

    人間関係において、他者に何かを与えるということが、いまだによくわからない。自分は長らく、与えることのできる人間になるべきだと考えてきた。見返りを期待することなく与える姿勢を持つ必要があると。純粋に、贈与をしたいという感情の発露として、与える側の人間になれないものかと思案してきたが、そのような考えはやや単純だったし、与えさえすればいいというものではないらしいと気づくまでに時間がかかってしまった。仏民族学者、マルセル・モースの『贈与論』は、世界のさまざまな民族、共同体における贈与の形態を研究したテキストだが、同書では「どんな社会においても、贈り物の性質の中には期限付きでそれを返す義務が含まれている」「十分にお返しをする義務は強制的なものである」と論じられている。モースが正しいとすれば、どうやら、返礼を欠いた贈与は両者の関係を破壊してしまうらしい。 銀行で横領した巨額の金を、恋人との逢瀬でひたす

    『紙の月』 - 空中キャンプ
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    zoomin67 2014/11/24
  • 『思い出のマーニー』 - 空中キャンプ

    物語の冒頭、公園でスケッチをする少女は、この世界は(コミュニケーションの)輪の内側に属する者と外側に属する者に分けられると説明する。そして少女自身は、その外側にしか存在しえない者であるとつけくわえられる。彼女にとって、他者との関係性はあたかも、けわしく乗り越えがたい壁のように屹立しているのだ。たくさんの子どもたちがめまぐるしく走りまわる、動きの多い公園のシーンのなかで、ひとり孤独を抱えた少女は、みずからが外側の存在でしかあり得ないことの重圧に耐えかねて、ぜんそくの症状を悪化させてしまう*1。こうしたストーリーの起点を持つ『思い出のマーニー』で、主人公の少女、杏奈は、物語を通してつねに外部(外側)を求めて移動しつづけ、さらなる外部へと向かって逃走を繰りひろげることとなる。 少女はつねに、内側から外側への移動を試みるだろう。空気の汚れた都会から、自然の多い療養地へ。しばらく居候する親戚の家から

    『思い出のマーニー』 - 空中キャンプ
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    zoomin67 2014/07/21
  • 『映画 果てしなきベスト・テン』/山田宏一(草思社) - 空中キャンプ

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    zoomin67 2014/05/26
  • 『そこのみにて光輝く』 - 空中キャンプ

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    zoomin67 2014/05/19
  • [映画]『ゼロ・グラビティ』 - 空中キャンプ

    内容に触れているので、未見の方は注意 コーマック・マッカーシーの小説『ブラッド・メリディアン』(早川書房)でもっとも印象に残っているのは、男たちが砂漠をひたすら移動しつづけるくだりだ。暴力的な描写の多い作品だが、もっとも身に沁みて過酷であると感じたのは、直接的な暴力よりも砂漠の移動場面だった。貴重な飲み水が尽き、飢えと乾きに苦しめられながら、砂ばかりの土地を移動するほかない男たちの姿を想像するにつれて、読んでいるこちらまで喉がからからになるような感覚がもたらされるのだ。水が飲めないことの恐怖が迫ってくるようだった。むろん、これは作者の筆力に拠る部分が大きい。このような感覚を、文章を通じて読者に与えることのできる書き手は限られるだろう。読了後、蛇口をひねれば清潔な水が出てくる自分自身の環境が、何か信じられないことのようにおもえたのを覚えている。 感覚に強く訴えるタイプの作品は記憶に残る。僕に

    [映画]『ゼロ・グラビティ』 - 空中キャンプ
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    zoomin67 2013/12/14
    見よう。
  • 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を見たゼ! - 空中キャンプ

    <渋谷/初日/庵野秀明新作> 庵野秀明という人は当におもしろく、いつになっても目が離せないのであって、『Q』を見終えてやはり、わたしは『エヴァ』が好きという以上に庵野が好きなのだとあらためて気がつく。わたしは庵野秀明が好きだ。ほとんど無条件に信頼しているし、彼が作品を製作する段になってときおり行う、能的な判断にも惹かれる。作風の変化するタイミングや、クリエイターとしての発想がゴダールに似ているとおもうこともある。アニメを全く知らないわたしだが、庵野が何かをするたびに興奮させられる。 思うに『スター・ウォーズ』の質を理解し、新たな続編を撮れる作家はジョージ・ルーカス以外にも存在するけれど、『エヴァ』は庵野にしか作れない。むろん設定やキャラクターを借りて、ウェルメイドな『エヴァ』を作ることはできるはずだが、作品のエッセンスだけはコピーすることができないように感じる。なぜなら『エヴァ』はわ

    『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を見たゼ! - 空中キャンプ
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    zoomin67 2012/11/27
  • 『アウトレイジ ビヨンド』を見たゼ! - 空中キャンプ

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    zoomin67 2012/10/13
    無常というのはホントそうだなぁ。
  • 『桐島、部活やめるってよ』を見たゼ! - 空中キャンプ

    渋谷にて。初日。すばらしい! 原作は未読なので、映画単体での評価になりますが、きわめてクオリティの高い作品だと感じました。ストーリー全体の構成や編集もたしかであり、抑えた演出によって各登場人物のグラデーションが浮き上がる点もみごと。思春期の残酷さや刹那、純粋性や未熟さといったモチーフが、せりふではなく映像や演技によって伝えられる手法にも好感を持ちました。ラストシーンでは完全に心を持っていかれ、傑作を確信しました。バレー部のエース、桐島が退部したといううわさが学内に流れ、生徒たちの関係性が少しずつ変化していく、というあらすじ。 ──以下、ストーリーにあるていど言及していくため、情報を遮断した状態で見たい方は注意してください── 冒頭、学校内を歩く生徒の背中を追うカメラの動きが、ガス・ヴァン・サントの『エレファント』(’03)を連想させる。こうした撮影の手法にとどまらず、高校を舞台にし、複数の

    『桐島、部活やめるってよ』を見たゼ! - 空中キャンプ
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    zoomin67 2012/08/15
    なるほどなぁ。どうしたらこんなに完璧に言語化できるんだろうか。すごい。”桐島”という存在の意味も納得させられました。
  • 『おおかみこどもの雨と雪』を見たゼ! - 2012-07-22 - 空中キャンプ

    新宿にて。初日。とてもいい映画でした。おおかみと人間のあいだに生まれたふたりの子ども(姉と弟)の成長と、それに伴う困難、希望を描いていくというあらすじ。キュートな登場人物たちのいきいきとした姿が魅力的で、アニメーションならではの新鮮な映像表現にも目を見張りました。 まず何より秀逸なのは、ストーリーの基となる「半分人間、半分おおかみ」という子どもたちの設定である。物語の後半になるほど、その不安定さ、どちらともつかない状態が意味を持つようになる。誰もが一度は経験したであろう普遍的な不安や孤独、心細さといった感情を、「人間とおおかみのあいのこ」というメタファーによって巧みに描く構成がみごとだ。「自分は周囲と相容れない、おかしな人間なのではないか」という怖れ。誰も手を差し伸べてくれる理解者がいない中での孤独な子育て。「こんなことを他人に知られたら、誰にも相手にされなくなってしまうはずだ」と不安に

    『おおかみこどもの雨と雪』を見たゼ! - 2012-07-22 - 空中キャンプ
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    zoomin67 2012/07/24
  • 『ヒミズ』を見たゼ! - 空中キャンプ

    新宿にて。園子温新作。劇場も満員で、園作品への期待度の高さ、また観客の興味を誘う企画アイデアのよさを感じました。映像、ストーリー共に迫力がある作品だと感じましたが、作についてはいくつか疑問もあり、そのあたりについて書きます。 見終えた感想としてまず、主人公の少年・住田がなぜ屈し、死に魅入られているのかがよくわからなかった。住田は当にたくましくしっかりとした少年だ。暴力団に脅されても屈せず立ち向かい、教師や大人にも自分の意見をはっきり言い、悔しさや憤りをあれほどに大声で叫ぶことのできる中学生などなかなかいない。少なくとも中学生のわたしは、住田のような意志もエネルギーもない、主体性に欠けた子どもだった。たいていの屈した子どもは住田よりもずっとか弱く、意志に欠け、殴られてもうつむくだけで、小さな声しか出せないだろう。あれほどの意志とエネルギーを持つ住田が、なぜ屈した少年として描かれるの

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    zoomin67 2012/01/16
  • http://d.hatena.ne.jp/zoot32/20110619

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    zoomin67 2011/06/20
  • 『八日目の蝉』を見たゼ! - 空中キャンプ

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    zoomin67 2011/05/08
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