でも、僕は筆者の提言を真に受けるつもりで読みました。 僕は野宿というものをしたことがなく、これまでの人生、一日を、帰宅、あるいはホテルへのチェックインで締めくくらないと死ぬんじゃないかとさえ思っていたフシがあります。 それを絶対のルールと思い込み自分に枷をはめていた、つまらない人間だったのです。 だから、ホテルが取れないと旅行を諦める。可能な限り終電に間に合う選択をする。間に合わなかったら大枚はたいてタクシーで帰る。終電に間に合わないことは最初からしない。制約だらけの中で生きてきました。 本書は、そういうつまらない人間を、タコ吸いで吸い出そうというぐらいの、あの手この手の野宿への誘いで満ちています。 そうかと思えば、時に、読者自身に野宿の魅力について考えさせたりもする。 誘いに乗って野宿をする、しないは置いておいて、これほどの熱量で野宿を語られる機会というのは貴重であろうと思います。 野宿
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