――第1局は永瀬王座が勝ち、今年度の藤井七冠が続けていた「先手勝率10割」の記録をストップさせました。第2局の序盤で藤井七冠は、ほとんど経験のない「右玉」を選び、意表を突かれたはずの永瀬王座もあまり時間を使わずに対応。最後は214手という長手数で七冠が勝ち、第3局は五番勝負で天王山の一戦です。 「永瀬王座・藤井七冠ともにAIを駆使した極めて精緻な研究を続けています。さらに、対戦相手も自分と同じように深く研究していると認識しており、その上でタイトル戦の作戦を準備していると感じました。基本的に将棋は、チェスや囲碁と同じように先手側にアドバンテージがありますが、この王座戦シリーズは後手番がそれぞれ勝つ展開になっています」 ――将棋界は生成AIなどが関心を集める以前から、AIの研究成果を実戦で取り入れています。森内九段が名人戦という大舞台で羽生善治九段(十九世名人など永世七冠)を相手にAI推奨の手