まだまだ暑い夏、電車に乗り込んでくるお嬢さんたちの手には、小さな扇風機が握りしめられている。 パステルカラーの可愛い見た目のわりに風量もちゃんとあり、顔に向けた扇風機の風で髪がフワフワなびいています。 するとどうでしょう、あっという間に車内が甘い香りで満たされたのです。 あらぁ、お花畑にいるみたい。 甘い香りに包まれながら、私はちょっとだけ得をしたような気がした。 お寺でお線香の煙を自分に向けて手繰り寄せるように、若いお嬢さんたちの甘い風を浴びようではないか。何かしらの御利益があるに違いない。 そんなことを考えながら、私はMちゃんに会うために名古屋駅に向かうのでした。 Mちゃんは幼なじみ。私たちはバッテリーだった。 今回は、ランチをするためだけに、はるばる大阪から来てくれるという。子どもの受験が終わって、ひと段落ついたからだそう。 久しぶりなので話すことがいっぱいあります。まずは喫茶店へ。