農学研究科応用生物科学専攻の笠井 亮秀 准教授、豊原 治彦准教授らの研究グループは、河口域に生息するヤマトシジミが、陸上植物の細胞壁を構成する主成分であり、非常に分解されにくいセルロースを餌とするシロアリのものと非常によく似たセルラーゼ(セルロースを分解するための特別な酵素)を持っており、河口域で、森林におけるシロアリのような役目を果たしていることを明らかにしました。 沿岸域には河川を通じて陸上から様々な物質が流れ込んでいる。その中で最も多いのは、陸上植物由来の有機物である。森林の草木や落ち葉は、図1に示すように、鹿などの草食動物やシロアリ、ミミズ、センチュウ(1mm以下の小さな糸状の生物)、あるいはバクテリアなどの微生物によって破砕・分解される。その一部は陸上生態系に取り込まれるが、また一部は河川を通じて最終的には海まで流れ込む。それらがあまりに多量に海域に負荷されると、有機汚濁や富栄養