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・変容性内在化 transmuting internalization (2009年頃記述、2012/11/02修正) 人間が自己対象との一体感を介して自己愛を充たしているとき(=自己対象体験)、自己対象として主観的に体験されている対象のイメージと、実物そのままの対象との間には多かれ少なかれギャップが存在することが多い。 例えば、ホステスにチヤホヤされている男性が自己愛を充たしているとしても、そのホステス自身は客のいない場所で醒めて退屈な表情を浮かべているかもしれないわけで、無意識な期待や願望を含んだまま体験される主観的なイメージと、素のままの相手がイコールということは現実にはありえない。そこまで極端でなくても、「理想の先生だと思っていたのに見損なった」というような形で、理想と現実のギャップに気づいて落胆するような経験は誰にでもあるだろう。 しかし、こうしたギャップへの気付きが許容可能なレ
*所属欲求についてのブログ記事の連載は、これが最終回です。第一回から読みたい人は、こちらへ。* 第二回で書いたとおり、(旧来の)共同体を介した所属欲求の充たし合いは減っていきましたが、SNSが広範囲に普及し、誰もがシェアやリツイート機能に慣れた2010年代に入ると、現代人のモチベーション源として再浮上する気配がみられるようになりました。 SNSを介した所属欲求の充たし合いは、個人のモチベーション源となるだけではありません。体験を共有するためのシェアやリツイートは集団的な行動を促進し、『シン・ゴジラ』や『君の名は。』に象徴されるような、大流行の成立を後押しすることがあります。と同時に、デマの拡散や偏った政治勢力の台頭を手伝ってしまうこともあります。 今回は、そうした、SNSを介した新しい所属欲求の充たし合いがもたらす可能性と危険性について、『認められたい』に書いたことを踏まえながら紹介します
*現在、所属欲求についてのブログ記事を連載中です(全三回)。承認欲求はよくわかるけれど所属欲求はよくわからない人、『認められたい』の拡張パッケージ的な文章が読みたい人に、特にお勧めです。* 第一回は、中年期以降まで見据えるなら、承認欲求だけでなく所属欲求もモチベーション源にして生きたほうがやりやすい、といった話をしました。 また、承認欲求に過重がかかりやすくなってしまった時代背景として、所属欲求が軽視され、所属欲求を充たせるセーフティネットに相当するコミュニティが希薄化していった流れについても書きました。 この第二回では、所属欲求を充たすための機会が一度希薄化し、2010年代になって一気に蘇った、そのあたりについて記します。 所属欲求に慣れる機会は遍在していた。が、ラクではなかった 個人が独りで生き抜くことの難しかった江戸期後半~戦前の日本社会では、地域共同体や血縁共同体のメンバーシップの
「あいつらは、内容の無いことばかり喋っている」と言って、学校や職場の同僚を馬鹿にする人は多い。思春期にありがちなセリフかと思いきや、年配の人が、同じようなことを喋っているのを見て驚くこともある。ほとんどの場合、このセリフは人望が無い人の口から出てくる。 いつも哲学している人や、いつも世界の重要事についてだけ考えている人は、世間には滅多にいない。いや、実のところ、「あいつらは内容の無いことばかり喋っている」と言っている本人だってそうなのだ。有意味なこと・重要なことだけを喋る人間など、まずもって存在しない。仮にいるとしたら、事務的な内容や数学の解法のような内容しか喋らない、ロボットじみた人間になるだろう。 少なくとも、「あいつらは内容の無いことばかり喋っている」などという、内容の無いことをペラペラ喋ったりはしないだろう。 「コミュニケーションの内容」より「コミュニケーションしていること」のほう
*これから、所属欲求についてのブログ記事を連載します(全三回)。承認欲求はよくわかるけれど所属欲求はよくわからない人、『認められたい』の拡張パッケージ的な文章が読みたい人に、特にお勧めです。* 認められたい 作者: 熊代亨出版社/メーカー: ヴィレッジブックス発売日: 2017/02/28メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含むブログ (1件) を見る はじめに 新著『認められたい』では、承認欲求と所属欲求について、なるべくわかりやすく解説したつもりです。それでも、よく見かける承認欲求という言葉に比べて、所属欲求という言葉はイマイチわかりにくい読者さんもいらっしゃったかもしれません。 また、執筆段階では十分意識できていませんでしたが、最近、ネットユーザーのモチベーション源として、所属欲求が承認欲求に並ぶほど機能しているさまが捉えやすくなってきました。2010年代後半のネットユーザー
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