むかし「ユーザビリティ」という概念が普及したことがあった。「ユーザビリティ工学的なことをやらなければUIデザインではない」という理解が共有されていた時代があった。 そのころ、工学に関心のないUIデザイナたちは、肩身の狭い思いをしていたことだろう。たんに「かっこいい絵」を描いただけでは「UIデザイン」したことにならない、と言われていたのだから。 その後、「ユーザーエクスペリエンス」という概念が普及してきた。それによって、「UIデザインには、工学的な機能性だけでなく、見た目の印象も大事」ということが言いやすくなった。 これは工学に無関心なUIデザイナにとって「朗報」となっただろう。ユーザビリティ工学そっちのけでUIデザインできる状況をつくるのに、「ユーザーエクスペリエンス」という言葉は便利だっただろう。 「使いやすさだけじゃダメなんですよ。使い始めてもらえる魅力的なデザインじゃないと」と主張す