信大は11日、松本市の本部で山沢清人学長らが記者会見し、工学部の遠藤守信教授が中心になって研究している超微細な炭素繊維「カーボンナノチューブ」(CNT)の安全性について、大学としての見解を明らかにした。人間がCNTを吸い込む状況により近い「吸入実験」では現時点で発がん性は認められない、とした。 遠藤教授が製法の開発に携わったCNT「VGCF」の安全性をめぐっては、小山省三・元信大医学部教授(7月に懲戒解雇)が、学内共同チームの研究を遠藤教授や信大が無視したとして、損害賠償を求めて6月に地裁松本支部に提訴し、係争中。小山元教授は、VGCFの1種類「VGCF−S」を腹腔(ふくくう)内に投与したマウスに悪性中皮腫が発生したと主張している。 会見で信大側は「腹腔内にCNTが入ることは現実的にはほとんど起きない」とし、吸入実験では悪性中皮腫ができなかったなどとする国外の2種類の論文を紹介。小山元