先日、日本政府が対北朝鮮経済制裁の一部解除の方針を示したことに、反対の意見が多く出された。 以下では、この経済制裁そのものに反対するとともに、それら「経済制裁」論を批判する。 「手段としての経済制裁」論への批判 日本が制裁を続けてきたことと、拉致問題の解決や進展との間にどういう因果関係があるかは証明できないはずだが、かりに「制裁の効果」があったとしても、基本的に経済制裁は行うべきでない、というのがぼくの考えである。 そもそも何のために経済制裁をしているのかがよく分からないのだが、政治家などが言うように(拉致問題解決のための)交渉の「圧力カード」として、この方法を用いているのだとしよう。 だがいずれにせよ、この国では、制裁によって実際に深刻な被害を受けるのは、政権ではなく一般の人たち、とくに貧しい人たちだろう。 制裁によって経済が悪化すれば、この国の状態では、ただちに多くの人の人命が危うくな