三菱樹脂事件(みつびしじゅしじけん)とは、日本国憲法における基本的人権に関する規定は私人相互の間にも適用されるのか否か、ということ(いわゆる「憲法の私人間効力」)が争われた代表的な民事訴訟事件の名称である。マスコミなどからは「三菱樹脂採用拒否事件」などと呼ばれる場合もある。 事件のあらまし[編集] 訴訟に至った経緯[編集] 1963年(昭和38年)3月に、東北大学法学部を卒業した原告・高野達男は、三菱樹脂株式会社に、将来の管理職候補として、3ヶ月の試用期間の後に雇用契約を解除することができる権利を留保するという条件の下で採用されることとなった。ところが、高野が大学在学中に学生運動に参加したかどうかを採用試験の際に尋ねられ、当時これを否定したものの、その後の三菱樹脂側の調査で、高野がいわゆる60年安保闘争に参加していた、という事実が発覚し、「本件雇用契約は詐欺によるもの」として、試用期間満了