けれどもこれら新世代沖積世の 巨大に明るい時間の集積のなかで 正しくうつされた筈のこれらのことばが わづかその一點にも均しい明暗のうちに (あるひは修羅の十億年) すでにはやくもその組立や質を變じ しかもわたくしも印刷者も それを変らないとして感ずることは 傾向としてはあり得ます けだしわれわれがわれわれの感官や 風景や人物をかんずるやうに そしてたゞ共通に感ずるだけであるやうに 記録や歴史、あるひは地史といふものも それのいろいろの論料といっしょに (因果の時空的制約のもとに) われわれがかんじてゐるのに過ぎません おそらくこれから二千年もたったころは それ相當のちがった地質學が流用され 相當した證據もまた次次過去から現出し みんなは二千年ぐらゐ前には 青ぞらいっぱいの無色な孔雀が居たとおもひ 新進の大學士たちは気圏のいちばんの上層 きらびやかな氷窒素のあたりから すてきな化石を發堀した