平井堅の歌世界に見る関係性萌えという話をしたとき、BLにその可能性があるのかもしれないと思って言及した私ですが、実はBL未体験でした。はい、知らずにものを言いました。すみません。今回勧められて水城せとなの『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』(小学館)という連作を読んでみました。さらに堀あきこの『欲望のコード マンガにみるセクシュアリティの男女差』(臨川書店)という論文も読んでみたよ。 まず素朴に『窮鼠はチーズの夢を見る』『俎上の鯉は二度跳ねる』の感想から。 端的にいえば、ノンケな男がゲイの男から同性愛という陶冶を受けて恋愛(関係性)を学ぶというビルドゥングスロマンである。と言えるでしょうか。予想どおり、異性愛/同性愛という亀裂のせいで、主人公たちの間の懸隔は大きく、それを超えるためのコミュニケーションが複雑に大展開されます。そして、絶対に埋まらない距離感に絶望し、しかし絶望自