絶賛上映中『ゼロ・グラビティ』。宇宙空間に取り残された宇宙飛行士を描いたサスペンス映画だ。 静かさに満ちた宇宙、ところがいきなりスペースデプリが降ってきて激突! 宇宙服を着たサンドラ・ブロックがぐるぐる回転する。見ているこっちも宇宙にいるような気持ちになっているから、目は回って酔いそう。サンドラ・ブロックも吐き気を訴える。訴えるだけで吐くシーンはない。 予告を見て、真っ先に思い浮かべた小説がある。 田中啓文のSF短編「嘔吐した宇宙飛行士」。この話も、宇宙空間に取り残されてしまった宇宙飛行士を描いている。 ただしこの男、前日にとある事情から激マズ特大ピザを20枚胃袋に詰め込んでいた。当然ながら船外活動当日の気分は最悪。運悪くトイレに行く余裕もなく、船外活動に出発する。しかもみんなからはぐれてしまい、一人で取り残される……。男は船外活動服の中で派手に嘔吐。ピザ20枚分なのでぜんぜん止まらない。