開発などに伴い、鎌倉市内の埋蔵文化財発掘調査で発見された出土品を紹介する「かまくら発掘調査速報展」が8月末まで鎌倉歴史文化交流館(同市扇ガ谷)で開催されている。中国・宋の商人のサインが記された白磁が鎌倉では初めて出土したほか、幕府の御所があった近くでは文献にも明確な記述がない“謎”の寺院跡とみられる遺跡も発見された。 11世紀末から12世紀前半までに中国で作られたとみられる白磁のかけらは若宮小路近くの遺跡から出土。高さ約30センチのつぼの一部とみられ、底部の破片には「十綱」の墨書が残されていた。 日宋貿易の拠点だった博多(福岡県)に暮らした宋商人は「綱首」と呼ばれ、綱首は自らの積み荷を示すため「綱」とサインを残したという。綱首の遺物は博多周辺では数多く出土しているが、鎌倉でサインが見つかったのは初めて。山本みなみ学芸員は「宋から博多への輸入品が鎌倉まで流通していたことが改めて裏付けられた」