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ブックマーク / kaze-no-katami.hatenablog.jp (123)

  • 新蕎麦を食す - 風のかたみの日記

    親子三代以上脈々と続く生粋の江戸っ子ではないが、意地っ張りで喧嘩っ早く人情家で涙脆い。ついでに「宵越しの銭は持たない」と啖呵の一つも切りたいところ、残念ながら生来「金」とは縁遠い。それでも新たな季節の到来を告げる初物や旬の物には目が無く、多少値が張っても出来ればいち早く味わいたいとは思っている。 ところが、例えば秋を代表する庶民の味「秋刀魚」が昨年から極端な不漁に見舞われ簡単には口に出来なくなってしまった。そこへ持って来て新型コロナウイルスの来襲である。ひたすら「STAY HOME」を心掛け「うち飯」や「テイクアウト」偶には「宅配」に徹しているが、かれこれ一年近くも続けるとイイ加減うんざりするのが人情と言うものだ。 そんな折り何気なくインスタグラムを眺めていたところ、 とある蕎麦屋の写真に目が留まった。『そうか、もう新そばの季節か』 インスタグラムの主は東京は中央区日橋室町に店を構える「

    新蕎麦を食す - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/11/29
    コロナ環境下での外食がとんとご無沙汰なので、美味しい蕎麦を食べに行きたいですね!
  • 季節の花(霜月)その三 - 風のかたみの日記

    このブログを更新するタイミングについて特に決めている訳ではないが、今月はいつになく記事数が少ない。それと言うのも最近文章を書く事が大儀に思えて仕方が無いのである。 元来筆者は滔々と高説を垂れる程の蘊蓄も無く、仮に何か書いたところで以前読んだ書物やネットから拾い集めた概説等を、あたかも持論であるかのように記述する位しか能が無いのである。 尤も広告収入を得る等と大それた目的も無い事はご覧の通りだが、それでも「はてなスター」や「ブックマーク」を頂くと素直に嬉しい。それは「私」にとってはささやかな、しかし「風のかたみ」にしてみれば過分なる贈り物。その為だけに、こうして投稿を続けるているのかも知れない。 さて、二度ある事は三度ある。三度目の正直。仏の顔も三度まで、いや待て。仏様も三度も顔を撫でられたら怒るのだから、三度目はアウトなのか。 心を過る数多の不安に背を向けて、今回も以下の通り。 季節の花

    季節の花(霜月)その三 - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/11/22
    難しい事を考えず、自分の思った事を書くでブログは良いと思います。
  • 季節の花(霜月)その二 - 風のかたみの日記

    iOS のバージョンが 14 になって以来、それまでの使い方が突然出来なくなったりして少々面喰っていた。しかも、そうこうしているうちに今度は Windows 10 が訳の分からないバージョン 20H2 とやらにアップデートしてしまい、これもまた何となく使い勝手が悪くなったような気がしてならない。 それでも、恐らく開発者は良かれと思って改定している筈で、事実、ネット情報を眺めていると徐々に組み込まれた新たな機能が判明しつつあるようだ。唯、それらの知識を習得するのに、当方はもう歳を取り過ぎたのかも知れない。 一連の変更への対応に思いの外時間を費やしてしまい、このブログの更新は置き去りされ、結果、用意していた「今週のお題」についての下書きも期限切れとなって、残念ながら没にせざるを得なかった。 とにかく忘れ去られてしまう前に何か投稿しなければ。遅筆、拙文の筆者としては、かくなる上はこれしかない。と

    季節の花(霜月)その二 - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/11/15
    iOS のバージョン14のアップデート以降、分からない事が増えました…><
  • 季節の花(霜月)その壱 - 風のかたみの日記

    11月8日、暦の上では既に「立冬」を迎えたというのに気温はあともう少しで「夏日」に迫る23度を記録した。日には「小春日和」なる洒落た言葉があるが、そう呼ぶには少々暑過ぎるような気もする一日だった。 幾ら季節の変わり目とは言え、このような気温の乱高下に身体が付いて行く筈がない。尤も筆者はグレた不登校娘みたいな「何でも温暖化論者」では無いので、何事も甘んじて受け入れ、その原因を特定し断罪する心算は毛頭ない。 因みに同じような気候をアメリカでは「インディアンサマー」と言うらしい。前回このブログで取り上げたコミック「ピーナッツ」の登場人物であるルーシーは、弟のライナスに「昔、悪いインディアンが白人を騙そうとして・・・」と知ったかぶりの説明をした事があったが、悪いのは先住民族から土地を奪った白人のような気もする。 ともあれ「小春日和」も「インディアンサマー」にしてもイレギュラーな天候である事に変わ

    季節の花(霜月)その壱 - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/11/09
    もう近いうちに霜が降りそうなほど冷え込んできましたね。
  • 「ピーナッツ」70周年 - 風のかたみの日記

    最近の話題と言えばアメリカ大統領選挙を除き、何をおいてもアニメ映画鬼滅の刃」に落ち着くだろう。老いも若きも、右も左も、青も赤も、も杓子も、馬も鹿も、挙って難解な名前をもつ登場人物達が繰り広げる世界に夢中になっているらしい。 それなのに私は全くと言っていい程、作について何の知識も持ち合わせていない。このように新しい物事に対し興味が沸かなくなるという事は、既に老化現象の始まりなのかも知れない。 それはさておき、唐突ではあるが読者諸氏は「ピーナッツ」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。古くは時の総理大臣も絡んだ「ロッキード事件」において、受渡された現金を意味する隠語の事か、そうでなければ炒ったり茹でたりして、ビールのツマミに合う落花生の事だろうか。 しかし、私がこれから書こうとしているのは、もしかしたら「スヌーピー」と言った方が解り易いかも知れない、あの二足歩行が出来るビーグル犬が登場する

    「ピーナッツ」70周年 - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/11/06
    自分が物心ついたときからスヌーピーがありましたけど。ピーナッツの関連性は知りませんでしたよ
  • 日光2020 - 風のかたみの日記

    毎年この時期になると必ず日光へ紅葉狩りに出掛けている。昨年、一度目は東北自動車道が濃霧の為通行止めとなり途中で断念、日を改めて漸く辿り着いた事を思い出した。 kaze-no-katami.hatenablog.jp しかし今年は矢張り新型コロナウイルスの感染が怖いし、幾ら「go to ~」とは言ってもウカウカ物見遊山に行く状況とも思えない。 それでも、そのうち老いさらばえて、車の運転どころではなくなる日も必ず訪れるだろう。かってコーナーを攻めるなどと称しカーブの手前ギリギリまでブレーキを我慢して、スローイン・ファーストアウトで駆け抜けた(心算になっていた)あの頃は、最早記憶の底に沈みこんでしまった。 今では全く無理をせず安全第一を心掛けてはいるが、視力は低下、反射神経は衰え、判断力は鈍り、もしかしたら来年はもう免許を返納せざるを得ない身体になっているかも知れない。そんな事を漠然と考えながら

    日光2020 - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/10/30
    この時期の日光は良いですね!先日自分も嫁さんと紅葉狩り行ってきましたよ~♬
  • コスモス - 風のかたみの日記

    コスモスの花が見頃だ。白や桃色、紅の花弁が秋の陽を浴びて目に眩しい。私は誘われるようにカメラを抱えイソイソと出掛ける。 コスモスの語源はギリシャ語の「宇宙・統一」なのだそうである。「COSMOS」といえばカール・セーガンとかいう御仁もいたが、より我々に馴染み深いのは長崎のバイオリン弾きが作り横須賀育ちの少女が歌った「秋桜」という曲かも知れない。あの歌が流行る昭和52年まで「秋桜」は「あきざくら」と読んでいたのだ。 しかし、さだまさしや山口百恵には殆ど興味の無い捻くれ者の私は、各々が卓越した演奏力を持ち、ヤマハのコンテストを勝ち抜いた女性三人組「COSMOS-keyboards trio-」を思い出してしまい、ダメもとでYouTubeを探してみたら何と見つけてしまった。 JAPAN SYNTHESIZER BAND COSMOS 因みに上のビデオで土居慶子が口に咥えているのは、息の強弱でシン

    コスモス - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/10/25
    コスモスをみかけると秋を感じますね。それに、コスモスの語源が壮大すぎますね~w
  • 諡(おくりな) - 風のかたみの日記

    今回は柄にもなく少々苦言を呈したい。と言っても大した話では無く常識的な事なので気軽に読んで頂きたい。 先日、特に当ても無く適当に「はてなブログ」を冷やかしていたところ、偶然にもあり得ない、あってはならないと思われる文言を目にしてしまった。誹謗中傷が目的ではないので出典は開示せず、ましてやIDコールなどする心算は毛頭ない。しかし、そこには間違いなく「令和天皇」の四文字があったのだ。 恐らく書いた人に悪意は無く単に現在の「天皇徳仁」について言及しようと思ったのだろうが、コメント欄を見ても誰一人その「違和感」を指摘する者は無く、余程私が注意しようかとも考えたが、読者登録している相手ではないし、突然の書き込みは失礼になるかも知れず、そして何より無用な紛争を避ける為、そのまま放置する事にした。しかし、だからといって見なかった事にする訳にはいかないのだ。 では一体何がどう問題なのか。聡明な読者諸氏に

    諡(おくりな) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/10/21
    なるほど○○天皇は崩御の後に言われるのか…確かにそうですね!
  • 季節の花(神無月) - 風のかたみの日記

    前回10月12日に「季節の花(長月)」を投稿したばかりだと言うのに気が付けばもう今月も半ば。年末まで既に80日を切ってしまった。 然るに筆者が折々に撮影した写真は外付けハードディスク内にシコタマ貯まったままで、この調子では季節外れ、且つ賞味期限切れになってしまう恐れが出てきた。 という訳で、今回も引き続きスライドショーなのである。 さて、これは以前にも書いたが、「はてなブログ」で写真を公開する最も手っ取り早い方法は直に写真貼り付けるやり方だ。では何故筆者が敢てYouTube化するかと言うと、直貼りではどうしても頁が重くなって表示するのに時間がかかり、またダラダラと縦長になってしまうが、さりとてそれを解消するのに解像度等画質を落としたくはない。という非常に我が儘な理由からなのだ。 しかし音を言えば「写真」そのものに自信が無い為で、それをBGM付きのスライドショーにすることに依って、少しでも

    季節の花(神無月) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/10/16
    最近動画作成もするようになって案外大変なのが、音楽選曲なんですよね…
  • ただその40分間の為だけに(後書) - 風のかたみの日記

    9月3日に連載をスタートした「ただその40分間の為だけに」というタイトルの物語は、10月9日無事最終回を迎えた。書き終えた今、感じる事と言えば「よく最後まで続けられたな」それしかない。 正直な話、何度か途中で止めてしまおうと考えた時もあった。その主たる事由は、投稿前に読み返すと実に話が詰まらないのである。書いた人がそうなのだから、読者諸氏が楽しい筈が無い。 それでもここに賜った数えきれない「はてなスター」や「コメント」の御芳志に励まされ、最期は独り善がりの使命感だけを頼りに何とか脱稿する事が出来た。改めて御礼申し上げる次第である。 「皆様、当にありがとうございます。衷心より感謝申し上げます」 結末をどうするかずっと悩んでいたが、長い付き合いとなった登場人物のクマとナッパに何かプレゼント出来ないかと考え、当初は無かった最後の部分を書き足した。『ハッピーエンドになって良かった』とのコメント

    ただその40分間の為だけに(後書) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/10/14
    小説的な物語って考える事自体が、自分には無理なので尊敬します。
  • ただその40分間の為だけに(最終回) - 風のかたみの日記

    半年後、クマは晴れて大学生になっていた。「晴れて」という表現が第三志望の合格に相応しいかはさて置き、アグリーやセンヌキを始め、他の仲間の男子生徒は軒並み浪人暮らしが確定し、それとは対照的に女子では唯一人国立大学を目指すメガネユキコを除いて殆どが短大等に合格していた。 尤も世間では一年間の浪人生活である「一浪」を「ひとなみ(人並)」と読み換え、ごく当たり前の事として認知しており、クマにしてもそれは選択肢のひとつではあったが、とにかく一日も早く自由の身を手に入れようと現役合格を目指していた彼は、迷わず入学手続きを取る事に決めたのだった。 前年9月27日、「ヒナコさんグループ」の演奏を終えて世田谷区民会館から帰宅したクマは、ギターを始めた中学1年から伸ばしていた右手の爪を短く切り揃え、楽器は綺麗に拭きあげてケースにしまった。予定ではそれは、大願成就の日まで封印される筈であった。 ところがその夜、

    ただその40分間の為だけに(最終回) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/10/11
  • ただその40分間の為だけに(24) - 風のかたみの日記

    遂にその時が訪れた。しかし「ヒナコさんグループ」に緊張感や気負いは無かった。それは偏にこれまでの膨大な練習量の賜物と言えよう。クマにしてみても同じ曲をこれ程繰り返し演奏した経験はかって無かった。 「行くよ」ステージへ続く暗い通路に響いたクマの言葉に、ヒナコは大きく頷いてムーの肩を軽く叩き、両手にギターを抱えていたクマとアグリーは、目だけで互いに合図し合う。そして足を踏み出した。 その30分程前、彼等に文化祭準備委員長から持ち時間短縮の要請があった。「二曲位カット出来ないか」それは十分予想出来た事だったがスケジュールは押していた。 だがそれに対しクマは毅然として答えた「それは受け入れられない。僕等はこの40分間、ただその為だけに、この半年間を送って来たんだ。一曲たりとも外す訳にはいかない。それでも可能な限り曲と曲の間を短くするように努力はする」 スポットライトに照らされたステージからは、客席

    ただその40分間の為だけに(24) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/10/07
    膨大な練習をしてきたのに巻きを言われても受け入れられませんよね^^
  • ただその40分間の為だけに(23) - 風のかたみの日記

    世田谷区民会館は隣接する区役所と同様、外壁が無くコンクリートの地肌を剥き出しにした灰色の建物だ。竣工が1959年である事を考えれば、当時としては斬新なデザインだったのかも知れないが、それから15年を経た今では単に無機質で冷たい外観の構造物という印象の方が強い。 クマは以前、何度かその中に入った事がある。殆どは小学生の頃、学校で無理矢理書かされた読書感想文が世田谷区主催のコンクールに入選し表彰を受ける為だった。「そう考えるとあの時はここが出来てまだ間もない頃だったのか」クマは思った。 都立深沢高等学校の文化祭は3日間の日程で行われる。変わっているのは初日は学内ではなく、この施設を借り切って全校生徒と教職員のみ観覧する形が採られていた事だ。 『一体誰がそんな事を決めたのだろう』誰もが一度は思う事だが、深く追求する者は無く、『まあ、どうでもいいか』そんな白けたアウトサイダー的考え方が当時の風潮と

    ただその40分間の為だけに(23) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/10/04
  • ただその40分間の為だけに(22) - 風のかたみの日記

    1974年9月、新学期が始まると校内の雰囲気は一気に文化祭一色に染まった。各クラスとも連日夜まで居残り準備に追われていたが、学級単位の催し物には一切関わっていない「ヒナコさんグループ」の面々も同様に連日連夜練習に明け暮れていた。 午後6時以降校内に残る場合、来ならば所定の用紙に人数、用件、下校時刻を記入、担任の認印を取った上で、学校へ届け出る旨校則に定められていた。しかし何故かクマ達は一度も書いた事は無く、それでいて特に咎められもしなかった。 勿論それは、これまで彼等が素行上、何ら問題を起こしていないという実績のお陰かも知れなかったが、校内で喫煙している生徒など掃いて捨てる程いたにも拘らず、誰かが停学処分や厳重注意を受けたという話も殆ど聞いた事がなかった。すべては70年初頭まで吹き荒れた「学生運動」によって、「規律」という言葉が荒廃し形骸化したせいだったのだろう。 そのような中、番を間

    ただその40分間の為だけに(22) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/10/02
    そういえば、コロナの影響で今年の文化祭中止の所が多いみたいですね…
  • ただその40分間の為だけに(20) - 風のかたみの日記

    「ヒナコさんグループ」を続けながらも、クマは来年二月に迫った大学受験の事を忘れた訳ではなかった。バンド練習の無い日は今まで通り帰宅後直ぐに午睡を取り、夕を済ませ午前三時まで机に向かう。そして翌朝七時に起きて登校、そのような生活を続けていた。 これにはある程度ストイックな姿勢必要とされたが、クマは様々な誘惑に対し一旦距離を置いてしまえば、再びそこへ戻るという事は極めて少なく、また苦痛に感じる事も無かった。尤もそれは煙草やアルコールといった常習性のある物を一切嗜んでいないから言える事かも知れなかった。 テレビに関しても、その頃NHKでは土曜日の夜「刑事コロンボ」という非常に興味をそそる番組が放送されていたが、その時間クマだけは居間から二階の部屋に行き、一度もそれを見た事が無かった。 唯一彼が視聴するのは同じNHKの「ステージ101」で、その番組の音楽監督を務める東海林修のアレンジを聴く為だっ

    ただその40分間の為だけに(20) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/09/29
    ストーリ的に今より昔なのに、それでも湯治という考えが更に古いっていう事とは…w
  • ただその40分間の為だけに(18) - 風のかたみの日記

    結局ニクソン大統領は辞任、軍用ヘリコプターに乗ってホワイトハウスを去った。そのニュースが極東の日に伝えられた頃、東京は漸く梅雨空が晴れ、日に日に日差しが強まっていた。 「ヒナコさんグループ」は週一度の練習を欠かさず続けていたが、レパートリーは相変わらずヒナコとムーの二曲とアグリーの一曲のままで、それなりに仕上がってきたものの今一つ盛り上がりに欠けていた。 そんなある日、ムーが練習場所に発売間もないアイワのラジカセを持ってやってきた。「これを聴いて貰いたいんですけど」彼女は少し恥ずかしそう言うとプレイボタンを押した。ムーの男言葉は次第に無くなりつつあるようだった。直ぐにピアノの音がして歌が始まった。どうやら新しいオリジナルらしい。 それは掴みどころの無い不思議な曲だった。一度聴いただけでは把握出来ない。もしかしたら大傑作、それともとんでもない駄作か。演奏が終わった時、誰も何も言わなかったが

    ただその40分間の為だけに(18) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/09/27
    自由な野生が良いのか、愛情を与えらて飼育が良いのかどっちがよいのかは鳥にしか分からないんでしょうね。
  • ただその40分間の為だけに(17) - 風のかたみの日記

    6月に入り梅雨特有の陶しい天気が続いた。雨は下旬になって格的に降り始め、月が替わると折からの台風8号の影響を受け日各地に甚大な被害をもたらした。 クマ達が住む世田谷、目黒区周辺も、一級河川の多摩川や彼等が通う深沢高校の傍を流れる呑川流域に多数の床上浸水が発生したが、幸い親しい者達の家は被災を免れた。 月末、アメリカ合衆国で国を揺るがす重大事件が発覚した。新聞やテレビはそのニュース一色に染まり、連日特集記事や番組を報道し続けていたが、クマは何が起きて、何が問題なのかよく理解出来なかった。 「ウォーターゲートって一体何んなんだ」彼は先だって病院の受付で味をしめた「とにかく質問してみる」という手段を試そうと廊下で会ったアグリーに聞いてみたが、彼もまた内容を把握しておらず、「鉛の兵隊とニクソンがやって来る」と全く見当外れなニール・ヤングの『オハイオ』の歌詞を呟いた後、「それより、コンサートで

    ただその40分間の為だけに(17) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/09/25
    ウォーターゲート事件つい調べてしまった…w
  • ただその40分間の為だけに(16) - 風のかたみの日記

    「変わってないな」 6年前、10日余りの間閉じ込められていた建物を、久し振りに眺めクマはそう呟いた。正面玄関から中に入ると、ひんやりとした微かに消毒液の臭いの漂う空気が彼の遠い記憶を呼び覚ます。 過ぎ去った歳月は決して短くはない。しかし誰にでも何年経とうと決して忘れない思い出はある。たとえそれが単なる「入院」であったとしても、それ迄の十二年の人生で初めての経験となればある意味当然とも言えた。 そしてクマはまた、瞑想にも似た思考の迷路に沈み込んで行った。 『自分は幼い頃から喉が弱かった。風邪を引き易く決まって扁桃腺が腫れ、咳が止まらなくなる。そして四十度近い高熱。眠っているのか起きているのか、夢か現か、或いは生と死の間か。そのような状態が三日三晩続き漸く快方に向う。それがいつものパターンだった。しかし、あの時は違った。 「肺に白い影が見えますね、ラッセルも酷くなっている。国立第二病院に紹介状

    ただその40分間の為だけに(16) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/09/24
    自分も喉が予約すぐに扁桃腺が腫れて、気管支炎になるから辛い気持ちが良く分かる。
  • ただその40分間の為だけに(13) - 風のかたみの日記

    結局その日、バンド名は決まらなかった。一番の原因は誰も気の利いた名称を思いつかなかったからだが、それでも文化祭準備委員会に出演申請の手続きをしなければならない。「取敢えず発起人の名前をとって『ヒナコさんグループ』で出しておこう」クマの言葉に誰からも異論は出なかった。 「そんなことより、オリジナルって何曲あるの」出来るだけヒナコとムーを前面に出そうと考えているクマが切り出す。 「ムーは結構いっぱいあるよね、ねえ」ヒナコがムーの顔を見ながら確認をする。 「数はあることはあるんですけど、人に聞かせられるようなのは一、二曲かと」普段女子同士で話している時に比べ、ムーの声はやけに小さくやっと聞こえる程度だった。 「どんな曲、ちょっとやってみてよ」クマの勧めにムーはおそるおそるギターを弾き始めた。それは「ぎやまんの箱」とタイトルされた、綺麗なメロディーラインを持つスローバラードだったが、クマは何となく

    ただその40分間の為だけに(13) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/09/20
    確かにバンド名を考えるのって大変ですけど、皆さんどうしてるんだろうw
  • ただその40分間の為だけに(12) - 風のかたみの日記

    「今を尊ばなければ一体 『いつ』という時があるのか」確かにクマはそう語った。しかし、そうは言ってみたものの具体的に何をすればいいのか、彼自身全く見当もついていなかった。『あの場の停滞した雰囲気を何とかしょうとしただけだ』と彼は思ったが、それで済ます訳にはいかない。『多分、クマが完パケまで持って行ってくれる』少なくとアグリーは間違いなくそう考えている筈である。『あの時だってそうだった』 1973年12月、その日上野毛のセンヌキの家で行われたアグリーのオリジナル曲の録音が一段落した夕方、センヌキの母親が差し入れてくれた軽べながらアグリーが言い出した。「せっかくこうして練習したんだからさ、コンサートやらないか」 「あっ、いいねそれ、やろうよ」何事にも軽いセンヌキが賛成する。 「うーん、そうだねぇ・・・」二人はクマのその次の言葉を待った。クマはなかなYESと言わないが、一度そう言えば必ずそれ

    ただその40分間の為だけに(12) - 風のかたみの日記
    A---chan
    A---chan 2020/09/18
    皆のそれぞれの能力がないと、中々出来ないですよね~^^