私のアップルに関する意見には、偏見が含まれている。 私が主にソフトウェア開発に従事していた1990年代半ばという時代において、Appleのプラットフォーム向けの製品開発は、苦労の割に報われないプロジェクトだった。販売本数が少なく、日本のアップルはちゃらちゃらしたマーケッター的兄ちゃんで構成されているので、技術サポートはアメリカ丸投げで貧弱。その反面、濃いユーザーからの要望は高く、品質チェックでの手は抜けなかったからである。 あの頃のアップルときたら、落日の象徴だった。その落日の最大要因は「ソフトウェアとハードウェアの一体販売」である。 敗者としてのアップル 落日の日々のMacは、「インターフェイスは優れているが、価格帯性能比には劣るパソコン」という位置付けだった。OSの提供がオープン化されていなかったため、Windowsパソコンで起こるメーカー間の競争が働かず、また、当時の主要なパソコン購