「人間失格」「斜陽」などで知られる作家、太宰治(1909~48年)の旧制中学・高校時代のノートや日記など、22点の資料が東京都目黒区の日本近代文学館に寄贈され、同館が10日公表した。 ノート類の存在は研究者には知られ、一部公開されたこともあるが、安藤宏・東大教授(日本近代文学)は「作家になる以前の太宰が何を考えていたか、まとまって分かる貴重な資料」としている。 資料は太宰と交流のあった横山武夫・元青森県副知事の遺族が保管していた。 ノートは全部で10冊。中学時代の太宰は優等生で、数学の問題を真面目に解く一方、「津島君(本名)は実に美男なり」と書かれた文字を線で消した跡もある。 昭和2年(27年)4月、17歳で旧制弘前高に進学。1年生の時とみられる「地鉱」の科目名を書いたノートも、当初は「地球起原」「太陽系起原」と項目が打たれ、授業内容を丁寧に記していた。 だが、10ページ辺りから似顔絵など