昔読んだ『坂の上の雲』や『竜馬がゆく』で扱う題材がテレビドラマ化される中で、これらの作品は「その刊行当時、自分たちの社会や国を考え直す作品」としての位置づけがあったと思います。確か、ヴェネツィアを扱った塩野七生さんの『海の都の物語』や国家の栄枯盛衰を扱った『ローマ人の物語』も同様で、個人的にはこの界隈の小説が大好きです。 若い人向けの小説、という表現で良いのかわかりませんが、こうした国家や社会について大局的にものを見る小説の中には、『銀河英雄伝説』があります。ただ、相当前の日本で作られた作品で、普遍性があるとはいえ、今の時代は映していません。そこで、今の時代に『銀河英雄伝説』的な視点で物を見る、今を生きる世界の視点を相対化する小説ってあるのかなぁ、あったら読みたいと思っていたところに出会ったのが、最近、ウェブで熱くなっている『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」』(以下、『まお
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