奈良市神殿(こどの)町のトンカツ店「まるかつ」の壁に、「無料食堂のお知らせ」が今月、貼り出された。「お金がなくて、おなかがすいていたら、相談してほしい。無料提供も考えます」との思いで店長が書いた。「困った時のために覚えておいてください」と話している。 日曜日の昼下がりに店を訪れると、テーブル席のほとんどは家族連れで埋まっていた。キッチンでは、店長の金子友則さん(41)が真剣な表情でトンカツを盛りつけていた。 無料食堂の理由を聞くと、「100人来て99人にだまされても、1人の本当に困っている人を救えるならいいのかなと思って始めました」。 きっかけは、2年ほど前に受けた一本の電話。「ほんまにお金、ないんです」。声の主は、何度か家族連れで来た男性客だった。来店時に改めて聞くと、男性は「病気がちで働けず、生活苦に陥った。妻と子が出ていった」と語った。 「月末には生活保護のお金が入るので、それまで食