2010年3月期決算を発表した上場企業から順次、報酬を1億円以上渡した役員の名前とその報酬額を、有価証券報告書で個別開示する制度が導入された。資生堂は3日、株主総会前の開示に踏み切ったが、そんな積極派はごく少数。多くの企業は戸惑いを隠さず、中には「限度内に減額して、開示を逃れたい」との声も。本格運用を目前に、企業はなお揺れている。 金融庁が開示を義務づけたのは、08年の世界的な金融危機以降、役員報酬への監視を強めるべきだとの議論が世界で高まったからだ。積極的な開示で、世界から投資を呼び込むことを期待したという。 ただ、開示が決まったのは3月末。ある電機メーカーの幹部は「来年度からの適用かと思って、悠長に構えていた」と、猶予期間がなかったことに憤る。資源高でうるおい、首脳の役員報酬が1億円を超えそうなある大手商社幹部も、「株主総会では毎年、高額な報酬がやり玉に挙げられる。突っ込みに拍車が