首都タシケントとフェルガナ盆地を結ぶ区間を走るウズベキスタン号。途中、中国国有企業が掘ったトンネルを通る=2020年3月7日、タシケント南駅、吉岡桂子撮影 二重内陸国、苦渋の国境封鎖 2月末、バンコクから直行便で首都タシケントに向かうウズベキスタン航空のエコノミー席は熱気に満ちていた。6時間半を過ごす機内に皆が飽きてきたころ。乗り合わせた楽団がバイオリンや太鼓を奏で、歌い始めた。独立前の1970~80年代にかけて、ソ連全域で人気を博した同国出身のバンド「ヤッラ」の曲という。マスクはしていない。深夜だけど、誰も文句を言わず、楽しんでいる。ウォッカを回し飲みしている人もいる。乗務員はちらっと見ただけで、注意はしない。「ウズベク人は音楽が生活の一部なんだ」。びっくりしていると、近くのお客から説明された。ウズベキスタンでは新型コロナウイルスの感染者はまだ確認されていなかった時期である。 バンコク―