東日本大震災の発生を受け、地上デジタル放送への完全移行が岩手、宮城、福島の3県で延期されることは、経営体力に劣る地元のテレビ局にとって打撃となりそうだ。広告収入の落ち込みに加え、地デジとアナログを並行して放送するコストが重くのしかかる。被災地の情報発信で地元局が担う役割は大きく、総務省は財政的な支援を検討する。 今回の延期で、地元局はアナログ用の送信所や中継局を最大で来年7月まで稼働させる必要があり、電気代や設備の維持管理費用がかさむ。東北地方には資本金が10億円以下と規模が小さいテレビ局が多く、財務上は重荷だ。 ある地元局の関係者は「放送設備の運営は年間数千万円の負担になる」と説明。「アナログ放送は今年7月までという前提で進めていた。震災後は自粛ムードでCMが激減しており、経営環境は厳しい」と困惑している。 【関連記事】 英BBCが励ましのラジオ番組=アーティストら無報酬で協力