7月29日の公開から24日間で300万人以上を動員、興収100億円の大台が見えてきた「シン・ゴジラ」。劇中で描かれる官邸や自衛隊のリアリティには、識者からの評価も高い。総監督を務めたのは、庵野秀明氏である。ネタバレ注意。 *** 「シン・ゴジラ」 ところで、今、なぜゴジラなのだろうか。評論家の唐沢俊一氏の回答はこうだ。 「最初の『ゴジラ』は、第五福竜丸事件の年に封切られました。日本人が水爆への漠たる恐怖を抱いたとき、水爆実験で怪獣が目覚めるという映画で恐怖が具現化されたのです。また、1954年は高度成長が始まった年で、見慣れた風景が次々と壊されていくイメージとリンクした」 だが、高度成長が終わり、バブル景気から平成の時代には、「大気汚染や食品添加物のメタファーは、むしろホラー映画の幽霊などだった」が、近年、それが変わったという。 「東日本大震災が起き、福島の原発事故が発生し、人間の恐怖の対