Gary Clyde Hufbauer, Cathleen Cimino,”“No Big Deal” says Krugman” (VOX, 17 March 2014) ニューヨーク・タイムズ紙掲載の論説記事で、ポール・クルーグマンは環太平洋パートナーシップ(TPP)をして「大したものじゃない」と言っている。本稿では、クルーグマンによるTPP反対論の主要点を検討する。第一に、クルーグマンは政治資本をTPPに対してではなく国内政策へと振り向けるよう述べている。第二に、関税は既に低いためにTPPによる利益は僅かなものになると彼は主張する。そして本稿では、クルーグマンの論説のより広いメッセージ、すなわちグローバル化とと政治主導による自由化の時代は終わったという点について指摘を行う。 自由貿易主義者を自称するポール・クルーグマンは、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載されたその驚きの論説(2月27日