桐壺の3回目。今回は光源氏の誕生の場面です。いよいよ主役登場です。 光君は、赤子の頃から美しく、成長してからも教養高く優雅で、誰もが見惚れてしまうような人物として描かれてはいるのですが、なんとなく、印象が弱い気がします。 普通、物語を読むときには、主人公に共感しながら読むことが多いのですが、描かれている女性たちの方が印象が強いです。 本当の主役は光源氏ではなく、彼をとりまく周りの人達なのではないかと思います。 さきの世にも御ちぎりや深かりけむ。世に清らなる玉のをのこ御子さ生まれ給ひぬ。いつしかと心もとながらせ給ひて、急ぎ参らせて御覧ずるに、めづらかなるちごの御かたちなり。一のみこは右大臣の女御の御はらにて、寄せ重く、疑ひなき儲けの君と、世にもてかしづき聞こゆれど、この御にほひには並び給ふべくもあらざりければ、おほかたのやむごとなき御思ひにて、この君をば、わたくしものにおもほしかしづき給ふ事