性染色体の型や性器の形などが生まれつき一般的な発達と異なる「性分化疾患」(DSD)という体の状態がある。その当事者でつくる団体が、米国のパスポート(旅券)に男女以外の「第3の性」の選択欄が設けられたことを機に声明を出した。「私たちは第3の性を求めていません」。その思いに耳を傾けた。 【岩崎歩/科学環境部】 きっかけは米国旅券の性別欄「X」 ヒトの性染色体にはX型とY型があり、多くの場合、男性は「XY」、女性は「XX」のペアを持つ。主にこの性染色体に基づき、性腺(精巣や卵巣)が形成され、男女それぞれに特徴的な性器が発育する。 しかし、DSDは体の細胞が性ホルモンに反応しないことなどから、典型的ではない発達をたどる。出生児の4500人に1人程度の割合で見つかるとされるが、生まれてすぐには分からず、思春期や成人になってから判明する場合も多い。 「私たちが恐れているのは、『男でも女でもない』と周囲