1966年の「袴田事件」で死判決刑が確定した元プロボクサー袴田巌さん(78)の再審開始決定に対する即時抗告審で、袴田さんの弁護団は29日、DNA型鑑定をめぐり「検察官の著しく不当な訴訟活動が明らかになった」として、東京高検に抗議書を提出した。検察側は、弁護側鑑定人の鑑定手法を「非科学的で信用できない」と批判しているが、別事件では同手法を「画期的。科学的根拠は十分」として有罪立証に用い、現在と真逆の主張をしていたという。 静岡地裁の再審開始決定は、犯行着衣とされた「5点の衣類」に付着した血痕と袴田さんのDNA型を「一致しない」と結論付けた弁護側鑑定結果を重要視した。検察側は即時抗告審で、弁護側鑑定人がDNAを増幅させるために用いた手法について、専門家の否定的意見を引用し「理論上あり得ない。信用できるとした地裁決定は不当」と訴えている。 しかし、弁護団によると、2006年に神戸地裁で殺人罪