今年で4回目を迎える恵比寿映像祭のテーマは、「映像のフィジカル」である。フィジカルには、「物質的」と「身体的」の両方の意味があるが、そこに出品されている作品は、映像のリアルとはなにかというこれまで何度も繰り返されてきた問いを、物質や身体という即物性を通してあらためて考えさせた。そしてそのシンプルな根本に帰ることが、却って新鮮に感じられたのである。 導入は、マライケ・ファン・ヴァルメルダムの16ミリフィルムを使った《パッセージ》である。映写機に直接取り付けられた小さなスクリーンに、四角い形態が拡大・縮小を繰り返しては消える極めてシンプルな作品で、1920-30年代のハンス・リヒターの絶対映画を思い起こさせる。その映写機と回るフィルムの音が、映像が物質的なもので成り立っていることを直接知らせる。続いて同作家の《カップル》と《イン・ザ・ディスタンス》が、部屋に斜めに張られたスクリーンの両サイドに