コロンビア大学ジャーナリズムスクール留学時代に私が日本人補習校について書いたフィーチャー記事。指導教官ジョアン・リーが手書きで赤字を入れている 東日本大震災によって多くの人たちが想像を絶する状況下に置かれている。死者・行方不明者数は2万人を超え、避難者数は31万人以上に達しているのだ。 肉親を亡くした人たちや避難生活を強いられている人たちの苦境を伝えるために、報道機関はどう取材したらいいのだろうか。当たり前だが、被災現場へ足を運び、彼らに直接取材することである。記者クラブにとどまって当局の発表を報じるだけでは、真実を伝えられない。 だが平時は違う。失業率が上昇したら失業者に取材する、ガソリン価格が上昇したらドライバーに取材する---こんな当たり前の取材が日本の新聞界では徹底されていないのだ。 では誰に取材するのか。当局である。権力側と言い換えてもいい。失業率であれば、発表場所は総務省の記者