日本にまつわる数々の問題が指摘されて久しい。改革しようという声もかねてより聞かれるが,まるで何も変わらない。私に言わせれば,日本の最大の弱点は「論理思考に基づいた建設的な議論ができないこと」である。 問題を論理的に分析していないから,解くべき問題の設定からして間違っていることが少なくない。道路公団の民営化などがその典型だ。「有料道路は国道として20年経てば無料にする」という法律が本来あったのに,このことを初期の議論から外してしまったために,それ以降多くの議論が行われたものの,本質的な論点が欠如したまま間違った方向に行ってしまった。こうした環境下で本質的な解決策を議論しようとすると,今度は事実や論理を超えた感情的反発が出てくる。 事実に基づいた全うな議論ができないというのは,ボーダレスの時代にあって,大変不利な国民性と言わざるをえない。日本企業の会議に出た人なら経験があると思うが,議案につい
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