女性やLGBT(性的少数者)、人種・宗教的なマイノリティへの不適切な発言などを理由に、政治家、学者から芸能人まで、著名人を糾弾し辞任などを求める「キャンセルカルチャー」が日本でも世界でも猛威をふるっています。差別のない社会を求めるのは当然として、批判や炎上によって問題は解決するのでしょうか。 これについては、「ステレオタイプ(偏見)を抑圧しようとすると、より偏見が強くなる」という興味深い心理実験があります。 被験者はイギリスの大学生(男女)24人で、スキンヘッドの男性の写真を見せられて、5分間でこの人物の典型的な1日を書くよう求められます。このとき(ランダムに選んだ)半数は、「他人への印象はステレオタイプによるバイアスに強く影響されている」との心理学の知見を教えられ、偏見を抑制するよう暗に求められます。残りの対照群には、こうした指示はありません。 第三者が文章を評価すると、「教育」を受けた