サケの稚魚を放流して地元の川にサケを呼び戻そうと各地で行われているカムバックサーモン運動。その先駆けとなった札幌市の豊平川で事実上、運動が終わる。今後は「ワイルドサーモンプロジェクト」と銘打ち、放流に頼らない野生サケの復元をめざす。 豊平川のサケ(シロザケ)は、水質悪化や河川改修工事などで1950年代にいったん絶滅。それを復活させようと、70年代後半に、人工孵化(ふか)したほかの川の稚魚を放流したのが運動の始まり。「サケを象徴として豊かな環境を守る」が理念だ。環境問題に対する市民総ぐるみの運動へと発展してきた。 81年にはサケの回帰が確認されて大きな話題となり、取り組みは首都圏の多摩川や利根川、新潟、長野両県の信濃川、京都府の由良川、福岡県の遠賀川などにも波及した。