大阪府豊能町のお寺で今春、1頭のツキノワグマが冬眠から目覚めた。約2年前、兵庫と大阪の府県境の山でイノシシのわなにかかり、大阪府に殺処分される寸前で西宮市の自然保護グループに引き取られた「とよ」(雄、推定6歳)だ。野生グマが飼育下で冬眠したケースは全国でも珍しい。環境省の指針では誤って捕獲されたクマは放獣が原則。なぜ古里の山に帰れないのか。(木村信行) とよの生息域は丹波山地とみられ、親離れして間もない2014年6月、兵庫や京都、大阪府県境の山を行き来している途中、わなにかかった。 鳥獣保護法では誤捕獲した動物は山へ放すのが原則。しかし、誤捕獲の経験がなかった大阪府は「住民の安全」を優先し、殺処分の方針を決定した。 これに森林保全やクマ保護の活動を全国で続ける「日本熊森協会」(本部・西宮市)が反発し、放獣を強く求めたが、大阪府は拒否。府は代替案として動物園など105カ所に引き取りを求