政府が日本学術会議法改正案の今国会での提出見送りを決めた。独立性を損ねるとして反発してきた学術会議側は歓迎するが、政府・与党は、これを機にさらなる見直しに踏み込む構えで、対立が収まる兆しは見えない。 「見送りは当然だ。学術会議に政府が直接手を突っ込むような法案だった」。菅義偉前首相に学術会議会員への任命を拒否された岡田正則・早稲田大教授は話した。 学術会議側が反発するのは、任命拒否問題で政府が一切の説明をしないまま、組織の見直しだけを進めているからだ。 一連の問題は、菅前首相が2020年9月、会員候補6人の任命を拒否したことに端を発する。しかし政府は岸田文雄政権に代わった後も、一貫して任命拒否の理由を明らかにせず「一連の手続きは終了した」とする説明を繰り返す。いまだに6人が欠員のままだ。 改正案の柱は、会員選考に「選考諮問委員会」を関与させることだ。5人の諮問委員の任命権は学術会議会長にあ