A-stories「適温で暮らしたい 気候危機と住まい」 気候変動が重要な課題となり、エネルギー危機で光熱費が高騰するなど、私たちの住まいをとりまく環境は大きく変わりつつあります。室温が健康に与える影響も注目されています。体にもお財布にも、地球にもやさしい住まいとは――。慶応大理工学部の伊香賀(いかが)俊治教授(建築・都市環境工学)に聞きました。 いかが・としはる 早稲田大理工学部建築学科卒業、同大学院を修了し、日建設計、東京大助教授を経て、2006年から現職。日本学術会議連携会員、日本建築学会副会長などを歴任。 ――世界保健機関(WHO)は2018年11月に出したガイドラインで、冬の住宅の室温を最低18度にするよう強く勧告しました。 WHOは同時に、自宅で過ごす可能性が高く、寒さによる健康への悪影響が懸念される人々として高齢者、子供、慢性疾患の患者には、18度よりも暖かくする必要があると