社会に出ると同時に23歳で継いだ家業は、2億円もの巨大な負債を抱えていた──。 「華麗に継いだというわけではなかったですね」 少し苦笑いを浮かべながら、自らの人生の転機となった15年前の出来事を振り返るのは、沖縄県本島中部の沖縄市に本社を置く、株式会社上間の上間喜壽(うえま・よしかず)代表取締役会長だ。 県民のソウルフードとして知られ、ダシの味が効いた柔らかい衣が特徴の沖縄天ぷらや弁当を販売する「上間沖縄天ぷら店」を8店舗展開し、冠婚葬祭や企業の会議など向けの折詰、重箱も受注販売している。 上間氏が会社を継いだ時点ではまともな帳簿がなく、収支を把握することすらままならない状態だった。そこから経営の健全化や規模拡大を進め、現在では年商8億円の企業に成長。今年3月の決算では4000万円超の利益を上げ、社員の待遇も着実に向上している。 その過程では、デジタル技術による経営革新も業績を伸ばす要因の