3月に日銀副総裁を退任した岩田規久男氏は、大胆な金融緩和によるデフレ脱却を主張する「リフレ派」の中心的存在として5年間、異次元緩和を進めてきた。その帰結をどうみるのか、聞いた。 岩田規久男(前日銀副総裁 ) ── 当初、「2年でインフレ率2%」を掲げたが、現時点では達成時期も見通せていない。 岩田 一番の問題は、日銀の金融政策は完全にリフレのレジーム(枠組み)に転換したのに、財政政策は2014年4月の消費税率引き上げで緊縮的になってしまい、リフレレジームが壊れたことだ。 リフレレジームとは、物の値段が下がり続けるデフレを止めて、2%程度の緩やかな物価上昇をもたらすような政策を指す。金融政策が中心だが、財政政策など需要に影響する政策を含めて、全体として物価を上げるような枠組みになっていなければならない。 最初の1年目は想定通りの展開だった。まず、「リフレレジーム」に転換した日銀による大量の長