前記事に、もう一つの材料として盛り込もうと思ったが盛り切れなかったので、別記事にする。「人権を守るには人権を守るしかないこと」というタイトルで文章を書こうとして、最初に念頭に浮かんだのは、今回述べる「天皇機関説」だったのだ。すなわち「天皇」(君主)という中心を掲げることにより、結果として国民の人権を保証しようという考え方である。 ただし今日の日本で「天皇機関説」という言葉を使用する場合、それが戦前において猛烈な排斥を受けたことと、またそのような動きが戦前の日本を戦争の破滅へと追いやった重要な一里塚の一つとして記憶されていることまでが、含意されると思う。 スポンサーリンク まずは、丸谷才一『文章読本 (中公文庫)』に、大内兵衛の『法律学について』という文章の一部が掲載されているので、孫引きする。丸谷『文章読本』は国語の教科書に似て、著者が「名文」と判断した文章がふんだんに引用、紹介されている
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