自閉症の現象学 は、定型発達の視点から書かれています。定型発達の人にとって、最重要問題は人間関係ですから、人間関係のスタートである視線触発からして発達が「遅れがちな」自閉症者は、重要なものが足りない人として描かれることとなります。 しかし、です。人間関係が最重要、という視点ではないところから眺めれば、もう少し違う風景が広がるのではないかと思ったりします。それはそれで成り立つんじゃないのかなあ。 以下、自閉症の現象学を材料とした、あくまでわたしの考えです。 ◆ 自閉症であろうとなかろうと、生まれた瞬間には、自分と世界の区別はないと考えられます。そこで、自分の手で自分の顔を触ったとしましょう。触った手と触られた顔、どっちも自分ですよね。これを繰り返すことで、自分と自分じゃないものの区別がつきます。自分の輪郭がはっきりします。 狭いところにはまり込むと、自分の身体の境界ははっきりしやすいですし、