ブックマーク / www.newsweekjapan.jp/newsroom (6)

  • 売国奴と罵られる「激辛トウガラシ」の苦難

    1枚の漫画は、時に長文のコラムより雄弁に政治質に光を当てる。そして漫画などのイメージは文字と違い、機械的なネット検閲に引っかかりにくい。言論や表現に対して強圧的な政権にとって意外とやっかいな存在だ。 「変態トウガラシ(変態辣椒)」という奇妙なペンネームの中国漫画家が最近、日中国で注目を浴びている。名は王立銘、41歳。性的にアブノーマルなわけではなく、いたって普通の常識人だ(「変態」はこの場合、中国語で「激辛」の意味になる)。王氏が最近、頻繁に日のニュースで取り上げられているのは、中国の習近平政権による言論や表現への締め付けと、改善の兆しがまだ見えない日中関係という2つの政治的な嵐に巻き込まれ、この夏から日への「亡命」を余儀なくされているからだ。 王氏は文化大革命のさなかの73年、下放政策によって上海から新疆ウイグル自治区に送られた両親の下に生まれた。文革終了後に上海に戻り、

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    Baatarism 2014/12/03
  • 学生運動と台湾の伝わらない声

    「服貿」をめぐる台湾の学生運動が過熱している。「服貿」とは服務貿易協定、つまりサービス貿易協定のことだ。大陸と台湾の自由貿易協定(FTA)に当たる経済協力枠組み協定(ECFA)の柱であるこの協定の承認を急ぐ馬英九政権は、3月半ばに立法院(国会)の審議を強引に打ち切った。それに対して学生が怒っているのだが、彼らの怒りは経済問題でなく、むしろ政治問題に向けられている。 経済依存が強まれば強まるほど、台湾中国にのみ込まれ「第2の香港」になるリスクは高まる。そうなれば少なくとも87年の戒厳令の解除以降、台湾社会が築き上げてきた民主主義や人権重視といった価値観は危うくなる――学生たちはそう懸念している。同じ中国語を話し、同じように漢族が90%以上を占める国だが、台湾中国は今やかなりカルチャーが違う国になった。民主主義をいつまでたっても認めず、人権を平気で踏みにじる大陸の共産党政権のやり方を見て、

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    Baatarism 2014/04/02
  • 中国を変えた男

    今から6年前の北京五輪直前、誌2008年8月6日号は『中国を変える47人』という特集を掲載した。経済開放が始まった80年代の中国で子ども時代を過ごし、青少年期に89年の天安門事件を経験。市場経済が大きく広がった90年代に社会に出る、という体験を共有した当時30〜40代前半の中国人を「革命第7世代」と位置づけ、それまでの世代とはまったく違う価値観を持つ彼らの素顔と中国の将来について探る趣旨の企画だった。 北京の弁護士、浦志強(プー・チーチアン、49歳)も「第7世代」として取り上げた47人の1人だ。浦について6年前の記事はこう紹介している。 消費者被害事件や、メディアの言論の自由にかかわる裁判を手がける北京の弁護士浦志強(43)は、今年の天安門事件記念日(6月4日)が近づいたある日、公安警察の車に乗せられ「6月3日と4日は家から出るな」と警告された。 公安が浦をマークするのは、その影響力ゆえ

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    Baatarism 2014/02/21
  • 中国を変えるのは現実派か理想派か

    次の一文を読んでみてほしい。 **************** 「北京の壁」を倒せ また自由にネットできない世界に戻ってしまった――。これが3時間40分のフライトの後、東京から北京に戻った実感だ。3G携帯を開き、フェイスブックとツイッターに返事が必要な連絡が入っていたので、サインインできるか試してみた。駐機場から税関を通って手荷物受取所に着くまで約20分。携帯のサインイン画面は固まったままだ。この時、僕はようやく理解した。ぶ厚くてバカ高い、ただし姿は見えない壁の中に戻ったのだ、と。中国の13億人を取り囲むこの壁、東西ドイツを隔てたベルリンの壁になぞらえて「北京の壁」とでも呼ぶべきこの囲いの中に。 ネットでの「翻墻(壁越え)」は「異なる声」を聞きたいと渇望する普通の中国ネットユーザーにとって、ごく日常的な行為の1つだ。帰国後の2日間、僕はいろいろな方法を試してこのバカ高い「壁」を乗り越えよう

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    Baatarism 2013/05/17
  • メディアという「裸の王様」

    昨年暮れ、ニューヨーク支局に赴任した編集部の小暮さんから最近、メールをもらった。大まかに言うと、「ニューヨークで発行されているフリーペーパーを読んでいたら、現地在住ジャーナリストの武藤芳治氏が書いたコラムが目に留まった。 これを読んで、長岡さんが震災報道でのメディアのスタンスについて何度か書かれていたことを思い出した。この間長岡さんがアルジェリアの実名報道について書いた記事を読んだとき、『実名報道が必ずしもいいわけではない』と書かれているように読めたので、アルジェリアについては実名報道はいらなかったのかな?と少し混乱した。今後の指針として長岡さんがこのコラムについてどう思うか聞きたい」――という内容だった。 「アルジェリアの実名報道についての記事」とは、2月5日号で筆者が書いた「被害者の名前は公表されるべきか」はという短い記事のことを指している。この中で、筆者はアルジェリアの人質事件で問題

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    Baatarism 2013/02/14
  • ダライ・ラマと日本メディアの「保守性」

    チベットと聞いて人々が想像するもの──雪に覆われた山々と息をのむような絶景、風にはためくチベット仏教の祈祷旗、透き通るような青い空、サフラン色の法衣をまとい祈りのマニ車を回す僧。そして何より、時が止まったような神聖さ。 チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世もやはり特別だ。揺るぎない信念と深い慈悲の持ち主で、彼自身が啓示であり道義的な羅針盤であり、騒然とした現代の国際社会にあっても航路を照らし続けてくれる灯台だ。 独立運動や困難な政治状況を脇に置き、西側にとってのチベットの意味をひとことで表すとすれば、「けがれなさ」だろう。こうしたイメージは、リチャード・ギアやスティーブン・セガールなどのハリウッド・スターがチベット独立を崇高な運動に祭り上げるよりずっと以前から定着していた。 少し前の記事になるが、誌2010年3月3日号に載ったフォーリン・ポリシー誌の記事「ダライ・ラマは聖人にあらず

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    Baatarism 2011/11/11
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