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  • ISSから2人が帰れず、「取り残された」宇宙飛行士はどうなるのか

    2024年7月11日、国際宇宙ステーション(ISS)で撮影されたNASA宇宙飛行士のチーム写真。(下から時計回りに)マシュー・ドミニク氏、ジャネット・エップス氏、スニタ・ウィリアムズ氏、マイク・バラット氏、トレイシー・ダイソン氏、バリー・ウィルモア氏。(Photograph by NASA) ボーイング社の新型宇宙船「スターライナー」の技術的な問題により、宇宙飛行士のスニタ・ウィリアムズ氏とバリー・ウィルモア氏は、予定を大幅に超えて国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在することになった。しかし、宇宙に「取り残された」宇宙飛行士は、この2人が初めてではない。また、同じようなことはこれからも起こりうる。 地政学的な理由や自然がもたらすリスクなど、様々な理由で飛行士の宇宙滞在が予定よりも長引くことはたまにある。そして、宇宙飛行士も宇宙機関も、このような事態を想定して準備をしている。 乗って帰る

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  • 「エムポックス」はどう広まる? WHOが「緊急事態」を宣言

    透過型電子顕微鏡で見たエムポックスウイルス粒子。通常は、アフリカ中央部と西部の熱帯雨林の近くで見つかる。自然宿主はげっ歯類だと考えられているが、ヒトからヒトへの感染も可能で、発熱、リンパ節の腫れ、水疱などが見られる。(Micrograph by UK Health Security Agency/Science Photo Library) アフリカでのエムポックスの流行を受け、世界保健機関(WHO)は国際保健規則(IHR)に基づく緊急委員会を開催した。コンゴ民主共和国では、2024年に入ってからの患者数が1万5600人以上にのぼり、537人が死亡している。心配なのは、ブルンジ、ケニア、ルワンダ、ウガンダなど、これまでエムポックスが確認されたことのない近隣諸国にも広がっていることだ。この状況を重く見たWHOは「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。 緊急委員会の

    「エムポックス」はどう広まる? WHOが「緊急事態」を宣言
  • 「スノーボールアース」、小惑星の衝突が引き金だった、新説

    6億5000万年前、雪と氷が惑星表面と海の大半を覆っていた時代の地球の復元図。新たな研究は、この「スノーボール」状態は小惑星によって引き起こされたのではないかと提案している。(ILLUSTRATION BY SPENCER SUTTON, SCIENCE PHOTO LIBRARY) もし何億年も前の時代にタイムトラベルしたなら、地球はまるで映画『スター・ウォーズ』に出てくる惑星ホスのような姿をしていることだろう。凍りつくように寒く、陸地と海をほぼ隙間なく覆う果てしない氷の世界を、乾いた空気が吹き抜けていくのだ。 「スノーボールアース」として知られるこうした全地球規模の凍結状態は、少なくとも2回、どちらも6億年以上前に発生している。世界が巨大な氷の球に変わってしまうなど、何か重大な問題が起こっていたに違いない。しかしその問題とは、一体なんだろうか? 異常な火山活動から超大陸の破壊までさまざ

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  • 土星の衛星ミマスの地下に海、最新研究で判明、別名デス・スター

    NASAの土星探査機カッシーニが、土星の衛星ミマスにフライバイし最接近してとらえた画像。巨大なハーシェル・クレーターがあるミマスは、映画『スター・ウォーズ』の宇宙要塞「デス・スター」に似ている。このミマスの地下全体に海がある証拠が示された。(PHOTOGRAPH BY NASA/JPL-CALTECH/SPACE SCIENCE INSTITUTE) 土星の衛星ミマスの地下全体に海がある証拠が発表され、天文学者たちを驚かせている。2004年から2017年にかけて土星探査機カッシーニが行った調査を新たに分析したところ、軌道周回中の「秤動(ひょうどう)」と呼ばれる揺れが、地殻の下が液体の海で占められているためであることが示された。論文は2月7日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された。 地下海の存在はすでにいくつかの太陽系の天体でも確認されているが、ミマスもそのメンバーに加わることになる。また、

    土星の衛星ミマスの地下に海、最新研究で判明、別名デス・スター
  • コロナ第10波の兆し、今後「心不全パンデミック」の恐れも、研究

    新型コロナウイルスの感染は昨年11月下旬から年が明けても増える傾向が続き、流行の「第10波」の兆しも見せている。理化学研究所(理研)と京都大学の共同研究グループは昨年末、症状が収まった後もウイルスが心臓に残存すると心不全のリスクが高まる可能性があると発表した。同5月に感染症法上の位置付けが5類に移行し、人々は「コロナとの共生」の日常に戻っているが、流行ウイルスの性質が大きく変わったわけではなく、油断はできない。厚生労働省は今冬期の流行拡大に注意を呼びかけている。 国内初感染確認から4年でまた増加傾向 新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されてから1月15日で4年が経過した。5類移行後は感染実態の把握方法は全数把握から全国約5000の定点医療機関による定点把握に変更された。厚労省によると、定点把握の感染者数は移行後も増え続け、昨年8月末から9月上旬には1医療機関当たり約20人になり流

    コロナ第10波の兆し、今後「心不全パンデミック」の恐れも、研究
  • 加齢に伴う炎症を抑えるには、体の痛みの他がんや認知症とも関連

    けがが治るには炎症が起きる必要があるが、加齢に伴って生じる慢性的な炎症は「炎症老化」と呼ばれている。(PHOTOGRAPH BY DRAGONIMAGES, GETTY IMAGES) 年齢を重ねると誰でも、関節が痛んだり、傷の治りが遅くなったり、がんや心臓病、認知症、関節炎などのリスクが高まったりする。多くの研究から、こうした変化は、加齢とともに体内で炎症に関わる分子が増えるせいで起きていることが明らかになっている。加齢と炎症と病気との関連はよく知られており、「炎症老化(inflammaging)」と呼ばれている。 研究者たちは今、一生の間に炎症のプロセスがどのように変化し、何がその変化を誘発するのか、どうすればこれを防げるのかを明らかにしようとしている。一般の人々の間でも、加齢に伴う炎症を減らすことへの関心が高まってきている。 ただし、生活の質を維持するためには適度な炎症も大切だと、米

    加齢に伴う炎症を抑えるには、体の痛みの他がんや認知症とも関連
  • 1カ月の断酒が肝臓を救う 世界で広がる「ドライ・ジャニュアリー」

    1カ月にわたってアルコールを断つ「ドライ・ジャニュアリー」や「ソバー・オクトーバー」に参加している多くの人が、睡眠の改善や不安の軽減を実感している。専門家によると、肝臓や腸などの臓器にもいい効果をもたらすという。(PHOTOGRAPH BY VICTORIA JONES, PA IMAGES/GETTY IMAGES) 世界中で毎年何百万人もの人たちが、1カ月間アルコールを飲まずに過ごすことを選択している――「ドライ・ジャニュアリー(断酒の1月)」として始まったこの習慣は、今では「ソバー・オクトーバー(しらふの10月)」のような同様の取り組みへと拡大している。自身の飲酒習慣に関心を持ち、あえて飲まない「ソバーキュリアス」というライフスタイルを選ぶ人の数はどうやら、着々と増えつつあるようだ。 英国では、成人の7人に1人が2023年のドライ・ジャニュアリーに参加する計画を立てていた。また米国で

    1カ月の断酒が肝臓を救う 世界で広がる「ドライ・ジャニュアリー」
  • 2023年の環境にまつわる重大な出来事6選、希望の光も

    写真は9月にブラジルを襲った大洪水。2023年には、猛暑、森林火災、洪水などの自然災害が発生した。これらはすべて、地球温暖化が進行している兆候だ。(PHOTOGRAPH BY CHRISTIAN RIZZI, AFP/GETTY IMAGES) 気温の上昇、北極圏の氷の融解、カナダの壊滅的な森林火災。2023年、気候変動の影響は過去に類を見ない規模となった。欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」が2024年1月9日付けで発表したデータによると、2023年は記録が残る1850年以来、最も暑い年だった。気温は産業革命前より平均で1.48℃高かった。科学者たちが超えてはならないと言う限界に、危険なほど近づいている。 ただし、2023年に起こった環境にまつわる重大な出来事が、すべてネガティブなものだったわけではない。さまざまな懸念材料の中には、希望の兆しもあった。 化石燃料

    2023年の環境にまつわる重大な出来事6選、希望の光も
  • アイスランドで噴火、重大な局面に、町が壊滅する恐れも

    噴煙で夜空がオレンジ色に染まるのを見つめる地元住民。今回の噴火は、アイスランドで過去数十年に起きた噴火の中でも特に重大で、科学的な興味が尽きないものだ。(PHOTOGRAPH BY KRISTIN ELISABET GUNNARSDOTTIR, AFP/GETTY IMAGES) 12月18日の夜、アイスランド南西部にあるレイキャネス半島で噴火が起きた。噴火が間近に迫っていることを示唆する群発地震が起きてからわずか2時間後に溶岩が噴出し、ものの数分で亀裂の長さが約4キロにまで達した。ここ3年足らずの間に起きた4回目の噴火であり、溶岩の毎秒の噴出量は過去3回のピーク時の10倍を超えた。明らかに危険な兆候だ。(参考記事:「噴火目前か、町を直撃するおそれ、アイスランドで住民が緊急避難」) 一連の噴火活動を世界が注視しているのは、一つには、同じレイキャネス半島で、13世紀前半の約800年前とよく似

    アイスランドで噴火、重大な局面に、町が壊滅する恐れも
  • 解説:温暖化の目安「2℃」の由来は、1.5℃とどれほど違う?

    2℃の気温上昇というとそれほど大したことはないように思えるかもしれないが、それによって世界中で異常気象が起こり、気候は不安定になるだろうと、専門家は警戒している。(PHOTOGRAPH BY GODDARD SPACE FLIGHT CENTER, NASA) 国連「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の最新の報告書によれば、世界の政策が中間的な道をたどれば、地球の平均気温は2100年までに産業革命前より2.7℃上昇すると予測されている。地球温暖化につながる炭素の排出量をどのように、またどれほど早く削減すべきかについては各国の間で意見の相違があるものの、この気温上昇が壊滅的な結果を招くだろうという点に関してはほぼすべての国が同意している。(参考記事:「IPCCが最新報告書「気候変動の影響は想定以上に深刻」」) そのため、2015年のパリ協定に署名した196カ国は、世界の平均気温の上昇

    解説:温暖化の目安「2℃」の由来は、1.5℃とどれほど違う?
  • アルハンブラ 秘められた素顔

    スペイン南部のグラナダにあるアルハンブラ宮殿。イベリア半島のイスラム統治時代、建築の黄金期に造られた。14世紀のコマレス宮(左端の塔がある建物)など、イスラム教国の君主であるスルタンが数代にわたって建てた宮殿もある。奥にある頑強な四角い宮殿は、後にキリスト教徒の王のために建てられた。(PHOTOGRAPH BY CHRISTIAN HEEB, LAIF/REDUX) イベリア半島最後のイスラム王朝による統治は250年に及んだ。その牙城となった有名なアルハンブラ宮殿を探訪する。 その男性はスペイン南部のグラナダに立つアルハンブラ宮殿とつながりが深い。 ヘスス・ベルムデスという名の彼は、この要塞で生まれ、城壁内で育った。20世紀半ばに彼の父親がアルハンブラ博物館の館長に就任し、一家は敷地内の住宅に引っ越した。アルハンブラ宮殿はベルムデスにとって「舞台」であり、そこで日々の生活を送り、遠い昔の伝

    アルハンブラ 秘められた素顔
  • 電気刺激で味覚を変える実験の日本人研究者2人にイグ・ノーベル賞

    人々を笑わせ、考えさせるユニークな研究に贈られる今年の「イグ・ノーベル賞」が発表され、「電気を流した箸やストローで品の味を変える実験」により、明治大学総合数理学部の宮下芳明教授と東京大学大学院情報学環の中村裕美特任准教授が「栄養学賞」を受賞した。日人のイグ・ノーベル賞受賞は17年連続となった。

    電気刺激で味覚を変える実験の日本人研究者2人にイグ・ノーベル賞
  • 系外惑星に生物由来の物質か、新種の海洋惑星の可能性も濃厚に

    科学データに基づいて描かれた太陽系外惑星K2-18 bのイラスト。新たな観測により、メタンや二酸化炭素など、炭素を含む分子の存在が明らかになった。こうした気体が豊富にあることとアンモニアが少ないことは、K2-18 bの大気の下には水の海があるという仮説を補強している。(ILLUSTRATION BY NASA, CSA, ESA, J. OLMSTED (STSCI), SCIENCE: N. MADHUSUDHAN (CAMBRIDGE UNIVERSITY)) 「K2-18 b」と呼ばれる遠い惑星の大気の詳細が、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)によって行われた最近の観測で明らかになった。論文は2023年9月11日に査読前の論文を投稿するサーバー「arXiv」で公開された。 ヨーロッパの研究チームによる分析からは、大気にはメタンと二酸化炭素が豊富で、アンモニアはほとんど存在して

    系外惑星に生物由来の物質か、新種の海洋惑星の可能性も濃厚に
  • NASA「地球防衛実験」で驚きの余波、小惑星への備えに影響も

    ハッブル望遠鏡が撮影した小惑星ディモルフォスの画像。NASAのDARTミッションによって小惑星から散らばった岩(丸で囲った小さな明るい点)に囲まれている。(PHOTOGRAPH BY NASA, ESL, DAVID JEWITT/UCLA) 宇宙の画像は畏敬の念を呼び起こしやすいが、多数の岩に囲まれた小惑星「ディモルフォス」の新たな画像は異なる印象を与える。これらの岩は、彗星のように塵(ちり)の尾をなびかせるディモルフォスの周りを飛び回っているが、自然現象ではなく、ディモルフォスに宇宙船を意図的に衝突させて生じたものだ。(参考記事:「小惑星と彗星とは:違いは何? 地球に衝突する可能性は?」) ハッブル宇宙望遠鏡が撮影したこれらの画像は、致命的な小惑星衝突から世界を救う練習として、人類が初めて試みた「二重小惑星軌道変更実験(DART)」の余波を示している。 多数の岩が検出されたことにより、

    NASA「地球防衛実験」で驚きの余波、小惑星への備えに影響も
  • 解説:インドの月探査機チャンドラヤーン3号、なぜ南極に着陸?

    月周回衛星「ルナー・リコネサンス・オービター」から送られてくる画像をつなぎ合わせると、月の南極の険しい地形と影になったクレーターが確認できる。(MOSAIC BY NASA/GSFC/ARIZONA STATE UNIVERSITY) 5週間の旅を終え、インドの宇宙船「チャンドラヤーン3号」は月面への降下を開始した。垂直の着陸姿勢を取ると、約140メートル上空でホバリングした後、2つの大きなクレーターにはさまれた埃っぽい台地に降り立つ。 「インドは月にいる」。8月23日水曜日、インド、ベンガルールの宇宙管制センターで歓声を挙げる人々に向かって、インド宇宙研究機関(ISRO)のS・ソマナス長官はそう宣言した。 ソ連、米国、中国に続き、インドは月面着陸を成功させた4番目の国、そして謎に満ちた月の南極を訪れた最初の国となった。 「インドの仲間たちが着陸を成功させたのは大変喜ばしいことです」と、米

    解説:インドの月探査機チャンドラヤーン3号、なぜ南極に着陸?
  • ピンポイントで月面目指す「スリム」いざ出発 日本初の軟着陸へ

    「月は有明の、東(ひんがし)の山ぎはにほそくて出づるほど、いとあはれなり」 最も親しまれる古典の一つ、清少納言「枕草子」の一節だ。夜明け、新月の前の細く欠けた月が東の山際から昇ってくるが、やがて空が明るくなり見えなくなることの風情が感じられる。月は古来、日人の感性を磨いており、月を題材にした文学、ことわざなどは数知れない。そして現代。月は日人が技術を磨く舞台となり、小さな機体が向かおうとしている。高精度の月面着陸に挑む日の実証機「スリム」だ。 宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センター(鹿児島)から26日、大型ロケット「H2A」で打ち上げられる。これまで各国の月面着陸位置の誤差が1キロ以上だったのに対し、独自技術で100メートル級を目指す。目的地にピンポイントに着陸できるようにすることで、いわば“行ける月面から、行きたい月面へ”と、探査技術を飛躍させる狙いがある。小型軽量化も

    ピンポイントで月面目指す「スリム」いざ出発 日本初の軟着陸へ
  • 「パンチドランカー」を生きている間に治療できるように、研究

    2018年6月9日、カリフォルニア州ロサンゼルスで行われたWBCスーパーウェルター級タイトルマッチで、オースティン・トラウト氏(白のトランクス)と対戦するジャーメル・チャーロ氏(ゴールドのトランクス)。この試合は、チャーロ氏が判定勝ちした。(PHOTOGRAPH BY JAYNE KAMIN-ONCEA, GETTY IMAGES) パンチドランカーと患者が言われることもある「慢性外傷性脳症(CTE)」は、記憶障害、認知機能の低下、行動の変化といった症状が、通常は中年期から徐々に進行する神経変性疾患だ。アメリカンフットボール、アイスホッケー、ボクシング、総合格闘技など、接触が多いコンタクトスポーツの選手のほか、軍人や家庭内暴力の被害者など、繰り返し頭部に外傷を受けた場合でも発症する。(参考記事:「爆風の衝撃 見えない傷と闘う兵士」) CTEは現在、死後の解剖によってしか確定診断できないが、

    「パンチドランカー」を生きている間に治療できるように、研究
  • 猛暑でも生き延びる 地球温暖化に適応する生物たち

    アラビア砂漠で見られるヒトコブラクダは特殊な鼻孔を持ち、湿った空気から水を取り出せる。(PHOTOGRAPH BY BROOKE WHATNALL, NAT GEO IMAGE COLLECTION) メキシコ西部にあるバハ・カリフォルニア半島の海では、熱帯の日差しが浅い潮だまりを温め、水温が38℃を優に超える。しかし、このような極限の環境でも、潮だまりのカイアシと呼ばれる小さな甲殻類は繁栄している。(参考記事:「深海の新種:カイアシ」) 驚くことに、メキシコの海に暮らすこれらのカイアシは、米カリフォルニア州北部にいる同種の個体群より4℃ほど高温の環境にあっても耐えることができる。それでも、実験室でさらに高温の水にさらすと、メキシコのカイアシもすぐに死んでしまう。 「生物は温まると、タンパク質が溶け始めます」と体長2ミリメートルの甲殻類を研究する米ルイジアナ州立大学の生物学教授であるモーガ

    猛暑でも生き延びる 地球温暖化に適応する生物たち
  • 日焼け止めQ&A:実は使う量が少なすぎ!? 色黒でも塗るべき?

    米カリフォルニア州パームスプリングスのプールサイドに置かれたパラソルの下でくつろぐ人々。専門家によると、皮膚がんが増えているため、有害な紫外線から肌を守ることがこれまで以上に重要になっている。(PHOTOGRAPH BY JENN EMERLING, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 今年も日差しの強い季節がやってきた。この時期、日焼けが気になるという人も多いだろう。日焼けすると、数時間あるいは数日にわたって、痛みや不快感が続く場合がある。それだけでなく、日に当たる時間が長くなると、肌の老化が早まったり、メラノーマ(悪性黒色腫)のような皮膚のがんにつながったりする。 この数十年間で、日焼け止めを塗るべきかどうかという疑問(答えはもちろん「イエス」だ)は、いつ、どのような状況で、どのくらい塗るべきかという疑問に変わった。今、多くの人が気にしているのは、さまざまな種類の日焼け

    日焼け止めQ&A:実は使う量が少なすぎ!? 色黒でも塗るべき?
  • EVは本当に環境にいいの? 航続距離は? 電気自動車の基礎知識

    EVの売り上げが伸びている。米国政府も税額控除やインフラ投資などで消費者にガソリン車からのEVへの乗り替えを促している。(PHOTOGRAPH BY DAVID GUTTENFELDER, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 電気自動車(EV)の販売が好調だ。 国際エネルギー機関(IEA)の報告書によると、2022年、世界で販売された新車の14%がEVだった。2021年の9%、2020年のわずか5%から大きく伸びた形だ。2023年の第1四半期にはすでに前年同期比で25%増えている。 EVの魅力は明らかだ。環境に負荷をかけるガソリンやエタノールを燃料としない。有害な排気ガスを出さない。走行音は静か。ガソリン車に比べメンテナンスが容易。災害時などには非常用電源として活用できる。 しかし、利点ばかりではない。EVを走らせるバッテリーを製造するにはリチウムやニッケルなどの天然資源を

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