「今日は何を書けばいいのか…」。二回を終えて早々に大差がつき、記者席のあるスポーツ紙記者が嘆いた。前日も2けた失点で敗れたが、「球団ワースト」という“記録”のおかげで記事になった。しかし連日、またしてもお決まりの大敗となっては、語るべきことは確かに何もない。 先発藤江が6点を失い、二回で降板。内角、外角、直球、変化球…。いろいろ試してはみるが、甘くなると痛打された。救援陣も踏ん張れない。尾花監督は「丁寧に投げるしかない…」と歯切れが悪く、力の差を痛感していた。 記者は、1球ごとに球種やコースをスコアブックに記しながら試合を見詰める。例えば「配球の妙」といった、ハイレベルなプロ野球の醍醐味(だいごみ)を記事にするためだ。だが、そんな原稿を書く気にならない。 攻撃もあまりいいところがなかったが、あえて挙げるなら、内川のソロくらい。ある記者は「『意地の一発』とでも書こうか」とぽつり。勝負と