漢字表記の標準化について、別地域で異なる表記が用いられている場合の統一は困難であり、いずれかの表現を徐々に他へと伝播させるしか手段はない[1]。世界的には中国本土のメディアによる影響が増しているため、BBC中国などの華僑メディアにも本土の漢字表記が広まっている[1]。 漢字以外の文字を持たない中国では古来、外国の地名はすべて漢字で書き表されてきた[2]。たとえば「波斯」「天竺」のように、古くから中国に知られていた地名、およびインド、朝鮮、東南アジア諸国など[3]、主にアジアを中心とする外国の地名は歴史書などに記録が残る[4]。 明末には、世界地図『坤輿万国全図』(1602年)を著したマテオ・リッチや、世界地理書『職方外紀(中国語版、英語版)』(1623年)を著したジュリオ・アレーニら、カトリック宣教師によって漢文で書かれた西洋地理書(前期漢訳洋書[5])により[6]、主にヨーロッパ、アフリ