9月26日にリリースされたアルバム『More Music』は、奇妙礼太郎11変化とでも言いたくなるほどに歌表現の幅が拡張され、1曲1曲への没入と憑依が凄まじい作品だ。ロックンロール、フォーク、ブルース、日本歌謡、ジャズ――奇妙が敬愛する吉田省念と、盟友である田渕徹(グラサンズ)の手掛けた楽曲が彩り豊かに駆け回る中、目の前にある音楽とひたすら向き合い、奇妙が新たな歌と表現方法を掴んでいる作品だとも言えるだろう。 端から「歌うこと」への執念と業を強く感じさせる表現者であった奇妙が、ここにきてさらなる進化と真価を見せながら、より自由に音楽の上で跳ね回っているアルバム『More Music』。歌うたいとしての凄みを改めて見せつけるとともに、その新章を強烈に印象付ける作品を通じて、改めて奇妙にとっての歌とはなにかを訊いた。 振り返ってみたら、美味しいラーメンの、辛い部分だけを出してたんちゃうかってい