みずほ情報総研 ： 従業員意識調査を考える10年以上前になるが、ある自治体の職員意識調査をお手伝いする機会があった。結果を分析したところ、職員の満足度は総じて良好だった。その速報を説明したときの担当係長のコメントを、いまでもよく思い出す。「役所に対する市民の不満がこんなに高まっているなかで、職員が満足しているのは大きな問題ではないか」と言われたのである。 従業員意識調査を実施する側は普通、満足度が高いこと、または前回調査時よりも向上していることを期待する。しかし、残念ながら、これまでの数多くの研究によっても、職務満足と離職率との間に「負」の関係は見出せても、職務満足とパフォーマンスとの間に明確な「正」の関係は見出せていない。したがって、定着率が悪くて困っている場合は別として、単純な満足度の高低・上下を議論する意義は、限定的である。先の役所の例のように、より大きな組織目的を離れ構成員の共益・私益のみが実現されているとしたら、むしろ害
