その本。 すっきりとスリムなハードカバー。 黒一色の表紙に、降りてくる白い葉。 白い葉はシダ、羊の歯と書いてシダ。 その羊歯に映る光の輝き。 輝きの正体が、この本のキー。 「しろがねの葉」 しんと落ち着いた地味な表紙なのであります。 なんだ?この静謐だけれど意味ありげな表紙は・・・なんて手に取って気軽に開くと、いきなり闇に放り込まれます。 そして引き摺り込まれます、いきなりです。 山奥、森の中、欲が掘らせた危ない穴。 暗くて深い闇なのです。 しかし、一度この闇に眼が慣れてしまうともう止まりません。 主人公と共に、その時代を、人生を、読み進んでしまうのです。 表紙をめくったら放り込まれる「ここどこ?」な世界を。 ジャングルブック? とんでもない。 そんな夢や希望に溢れた冒険物語ではないです。 ならば、ジュマンジ? いやいや、そんな見たこともない生き物が出て来たり、危機一髪のクリアを重ねてゴー
